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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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雪の華が咲く頃~イルシア

戦闘型アルケミスト イルシア

行く場所がなく 行く場所を求め
こんな自分を必要としてくれる人を探して…




イルシア…
なんか ただの根クラなへタレ男になった気がする…
しかしBL系の筈なんだが
一体この男は誰とくっつければいいんだ?
の、前に 他の奴らもそうだった(汗)




「お前はどうしてこう 頭が悪いんだっ」
「お前は我が家の…一族の恥だっ」


アルケミストやクリエイター プロフェッサー
そして 各国の研究者
そんな頭の良い者達を輩出している 我が家グラフィール家

俺もまた その家の者であり
アルケミストになる為に勉強をし アルケミストとはなったが
その実力は殆ど無く
どちらかと言えば ナイトやクルセイダーが合ってるのでは
と 自分でも思う位 力だけはあった…

まぁ そんな事もあり グラフィールの家から追い出されてしまい
家名を名乗る事は許されなかった
いわば 勘当である。


でも ちょっと気が楽になった
俺は 確かに頭を悪ければ運もない
頑張ってはみるのだが 未だにエンブリオを作る事も出来ず
ホムンクルスを造り出す事も出来ず
薬を作っても 殆どを失敗して
出来あがるのはほんの僅かだ…
プリーストのグロリアがあれば
もう少し 成功するのかもしれないが
生憎俺には プリの知り合いはいない
正しくは 友達などもいなかった

顔が怖いそうで 大抵初対面ではビビられる…
おまけに情けないが俺は口下手で
どう 話しかけていいか分からない…
PTなど組んだことも 他人と狩りをした事も無いので
どう 人と戦っていいか分からないというものもあるのだが…



プロで露店を開いていた時
小さな子供のハンターが買いに来てくれた
小さいのに 彼は屈託なく俺に笑いかけ
そして、ポーションまで買ってくれた
だから ついおまけで持ってたお菓子まで渡してしまったのだが…
子供はいい…和む…

なんだか いい気持ちになりながら 
今度はアルデバランに行き 製薬に使う材料を買いにきた次いでに
夜だったので そのにある酒場に行った
賑やかな所は好きだ
一人でも なんだかあまり寂しくないから…
いつも一人でいるが
実は人の傍にいるのは大好きだ…
仲間が欲しいとも思うし
ギルドにだって入ってみたい

だが…
薬も作れない 力任せのアルケミなぞ
必要としてくれる所などあるだろうか…?
第一 ロクに話す事さえ出来ない男だ
きっと ウザがられるだろう
せめて 半製薬とかだったらいいんだが…
戦闘しかできんしな…
マーチャントの時代から 値引きとか露店とかも苦手だったし…


あ 考えてなんだか切なくなった…


思わず深いため息をつきながら
手にした酒を煽る

ふと その視線の先に居たのは なんだか統一感の無い
職業のメンツ…
チェイサーにハイプリにハイウィザードにアサクロ?
おまけにアコまでいて…
そして クリエイターまでいる…

あのクリエイターは 型はなんだろうか?
製薬かな?
いいな…お前には 仲間がいるんだ…
その仲良さそうな隣のアコは
将来のプリか?
グロリアを歌って貰えるんだろうな…
あぁ…なんか バードまで行った…
楽しそうだ…




頬づえを付きながら
羨ましげに見ていた自分に気付き
はっと背筋を正す
あぁ…全く俺って男は…
だからいけないんだ…
もっと自分を変えなければ

酒場から出た俺は
攻撃してこない安全なフィールドに出てから
カートを探って卵を取り出すと
それを孵化器へとセットして孵化させる


「あんあんあんっ」


そこから姿を現したのは 小さな子デザ
俺の周りを回って尻尾を振ってくる

「ほら 餌だぞ~」
「あんあんっ」

小さな子デザは 俺のやった餌を喜んで食べてくれた
その傍らに腰を下ろし 空を見上げる
かなり寒いが 有難い事にアルケミストの服は暖かいから
そう寒くないかな?
いや 女性の服はエライ寒そうで
目のやり場に困ってしまうが…


「もっと 自分を変えていかないといけないよな…
折角 あの家から勘当されて
新しい自分になれたんだ…
頭と運が悪いアルケミストでも 仲間に迎えてくれる人が
いるかもしれないもんな…」
「あん!」
「タロウもそう思うか?
俺…もっと自分を変えていける様に努力するよ
折角 こう自由になれたんだ…
誰かの役にたてる様に 頑張るよ
そしていつか 仲間とか恋人とか出来たらいいよな…」

言った自分の言葉に思わず照れてしまい
頭を掻いて空を仰ぐと
ふわり と、空から白いものが降ってきた。

「これ 雪か?珍しいな…」
「きゅ~んっ」
「あぁ 寒いんだな?お前暑い砂漠に生息してるもんな…
ほら…ここなら暖かいだろ?」
「くぅ~ん」


寒がって傍にきたタロウを抱き上げてやり
服の前を開けて 胸元に入れてやる
温かそうにするタロウに頬が緩む

こうやってこの先
誰かを温かくしてやれるかな?




今度 露店を開いた時
隣にいる奴に話しかけてみようか…
そう 思った。


俺なりの 第一歩を…












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