アルデバランの酒場
「げっ!紫苑じゃねーか…」
「ん?あらぁ…グレン 久しぶりねぇ~」
「なんでこう…てめぇなんかの顔みなきゃなんねぇかなぁ…」
「いやだわ~ つれない男ね…ベットの上で愛し合った仲じゃな~い」
「それが一生の不覚ってか、俺の汚点だっつの」
賑わう酒場のカウンターで酒を片手に
男ウォッチングを楽しんでいた紫苑の前に
黒髪のロードナイトがひきつった顔で顔を青ざめさせながら足を止め
その様子に楽しげに笑いながら 紫苑はうっとりした顔で
猫撫で声で甘えた様に訴えるが
ロードナイトはより目を釣りあがらせ吐き捨てると
その隣の席に腰を下ろして
「てめぇが無理やりケツに突っ込みやがったから
あれから俺は両刀使いになっちまったんだぜっ?
可愛い男の子をあんあん言わせて攻めまくるのが好きだった俺がっ」
「あら?楽しみが増えて良かったじゃない?
それにベットの上では、私の息子ちゃんをちゃーんと飲み込んで
最後はヨガってたしぃ?」
「たたっきるぞ…てめぇ」
身長の割には 割と可愛い部類に入る顔だが
キツイ目を更につり上がらせ、
ドスの利いた声で低く呟き こめかみに血管を浮き上がらせ。
「で こんな所で一人で何してんだ?獲物でも見つけたか?」
「あったり~」
「で、今回の可哀想な攻め男はどいつだ?」
「アソコの可愛いチェイサーちゃん」
グレンは盛大なため息と共に怒りを押さえ
酒をマスターに注文すると 紫苑が楽しげにしているのに
次の獲物が見つかったのか尋ねると
紫苑は上機嫌で
その先にいる チェイサーのリョウを軽く指さして。
「あ~ぁ~ かわいそーに…
でも、隣の赤髪のかわい子ちゃんの恋人なんじゃないか?」
自分もかつて この悪趣味変態サド男に無理やりヤラレテしまった為
心底リョウが気の毒になり 息を吐き出すが
その隣で甲斐甲斐しくリョウの世話をするハイウィザードに気付き
その様子から 恋人同士ではないかと推測して
「そうなの…残念な事に恋人同士なのよねぇ
アンタみたいに 遊び人だったらとっくに手ぇ出して
バック頂いてよがらせてるんだけどねぇ」
「遊び人言うなっ」
「だって 今だって特定作らずに 可愛い子食べてるんでしょ?」
「まぁ 否定はしねぇな…
で 本当に手ぇ出すのか?」
「今はあの二人で楽しんでるって感じかな~?
隙あらば リョウくんのバック頂いちゃうけどね」
綺麗にネイルをした爪先で自分の頬を撫でながら楽しげに笑う紫苑は
酷く艶っぽく それを見ていたグレンは思わず見惚れかけ
慌てて顔を横に振ってから
何度めか分からない息を吐き出し
恋人達を引き裂くのかと 慎重に聞けば
今の状態を楽しんでいる紫苑の様子に
呆れた顔を向けてから もう一度リョウ達を見て
「ふーん…あのハイウィザードくんはなんて名前?」
「アルくん…正しくはアルージョだけど…好み?」
「か~なりねぇ~…いかにも受けって感じがまた 可愛くて好み」
「あらあら…私より アンタの方が危ないんじゃあないかしら?」
背中を向けているリョウとアル二人を
獲物を狙う獣の様に舌舐めずりをして
舐めまわす様に見ている 二人の変態がいた…
「なんや…なんか背中がぞくぞくする」
「僕も…風邪 かなぁ…」
「はよ 今日は部屋に戻ってあったかくしよか?」
「そう だね…」
楽しく二人で酒を飲みつつ 食事をとっていたリョウとアルは
突然背中に走った寒気に 肩を竦ませ
顔を見合わせながら なぜか付き纏う悪寒に
風邪だと結論付ける
これから 何が起こるか知らぬままに…
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