「ルティくんの肩に このエンブレムが?」
「あぁ…肩の後ろに 確かにこのエンブレムの焼き印があったのだ」
エンブレムを見て 突然気が触れ そして倒れてしまったルティを部屋に寝かせた後
ディルは双月にそのエンブレムが刻まれている事を告げ
双月は驚いた様に聞き返してしまった。
「なるほどね…確か ルティくんには昔の記憶が無いとか言ってたよね?
空白の記憶に 秘密が隠されているんだろうけど…」
「無理やり思い出させてみたら?」
双月がどうしようかと悩む中
しれっと紫苑が口に出した言葉に
ディルはその手にアシッドボトルを握り
殺気立った目を向け 今にもそれを投げそうな所を
リョウとアルは慌ててディルを取り押さえ
紫苑は興味なさそうに ひらひらと手をさせてため息をつく。
「それは まだ必要ない…
取りあえずこのエンブレムを元に色々探ってみるよ?
ディル君は まずはイシュア君に打たれた薬の解明をお願いする。
その間に僕が調べておくから 安心して?」
「……承知した…」
リョウ達に止められ なんとか怒りを押し留めたディルは
自分がするべき事を思い出し 頷き…
「ルティ…
例え、私が居なかった過去に何があったとしても、
これから何があったとしても……お前はこれからも
私の傍にいるのだ…
そう私が言った事を忘れないでくれ…」
双月と紫苑が帰った後
ディルは 静かに眠るルティの枕元に腰掛け
頬を撫でながら
今にもどこかへ消えてしまいそうなルティに
言い聞かせる様に囁き
その唇に口づけ
後をリョウとアルに任せて 地下の製薬用の研究室へと篭った…
翌日にはルティは普段通り起きて来ていた。
ただ 昨日自分がエンブレムを見た事も
何を言った事も覚えて居なかったが…
イシュアを奪還してから 既に3日がたっていたが
未だその薬の解毒や成分についての解明はまだされておらず
ディルは大量の書物に囲まれて 盛大なため息をついていた。
「大丈夫ですか?ディルさん…」
薄暗い地下の部屋に ルティはハーブティーを手にして入ってくる。
あの日以来 ルティにはなんの変化も無く
そんないつもと変わらぬ姿を見たディルは
ほっと安堵の息を吐き出す。
「あぁ 大丈夫だ…
出来るだけ早く 解明したいだけなのだよ…
イクスの為にも…」
イシュアが戻ってきて以来
イクスは殆ど部屋から出て来ず 食事もあまり口にしていない。
それぞれがイシュアとイクスの心配をしていた。
ディルは精神を落ち着かせる為にルティが入れてきてくれたハーブティーを口にすると、スッと鼻に抜けるさわやかな香りが
頭をすっきりさせてくれる。
いつでもルティは こちらの気持ちを言わなくても
その状態を理解し 体調に合ったお茶を入れてきてくれる。
ほぅっと息を吐き出し
その傍らに心配そうにこちらを見下ろしているルティの細い腰に腕を回し
自分の方に引き寄せる。
「ぁっ…ディル さん…?」
いきなり引き寄せられ、自分の腹辺りに顔を寄せるディルに
ルティはどうしていいか分からず 戸惑う様に声を掛けて
「愛している…ルティ」
「…え?」
不意に言われた言葉に ルティは目を大きく見開く。
そんなルティを自分の片方の足に跨る様に正面を向いて座らせると
ゆっくり桜色の唇に自分の唇を触れるだけの口づけをして
その瞳を覗き込む。
「愛しているのだよ ルティ…
私の知らない過去に何があっても
この先 何があっても
私の気持ちは変わらない…
それを忘れないで欲しい…」
「ディル…さん…」
いつにも無く真摯な瞳でそう告げられ
一体どうしたのかと聞こうと思ったが
あまりにも真剣な様子に 只ならぬ様子を感じ取り
ルティは小さく頷いて。
「ルティは私のモノなのだよ…」
「んっ…」
そのままルティの唇を塞ぎ いつもより激しく
いきなり唇を割り開き 口腔へと捩じ込ませる様に侵入させた舌を
ルティの舌に絡めて、吸い上げ、何度も絡めて求め。
それに答える様に、慣れない様子でルティも舌を絡めて求めてみせ。
「ふっ…!んんっ…!」
唇を塞ぎながら ディルはルティの法衣の襟を乱し
いきなり前を肌蹴させてしまい
それに驚いたルティは 目を見開いて。
「はぁっ…んっ…ディル さっ…!」
まだ幼い 薄い胸板をディルの前に晒す格好にさせられ
その艶やかな肌をディルの唇が何度も口づけてゆき
なんとも言えぬ 体の芯から疼く様な熱さと感覚に
ルティの声は甘く乱れ しっとりとその肌を桜色の染めてゆき…
「きゃぅっ!やっ…んっ…」
「これで 私のモノだと分かるだろう…」
鎖骨辺りや胸元の軟肌を強く吸い上げられ
ちくりとした痛みにルティは小さく悲鳴を上げて
思わず逃げそうに腰を引いてしまうと
ディルから引き寄せられ 何度も胸を吸われ
やっと唇を話してくれたディルは満足そうにルティの胸元を見つめ頷き
ルティは何事かと 涙目になった瞳で自分の胸を見下ろすと…
「…ディル…さん?」
そこには 白い肌にいくつもの所有印…
紅いキスマークが至る所に散らばっており
ルティは思わず固まってしまう…
「これならば 誰が見てもルティは私のモノだと分かるだろう?」
「もぉぉっ!!は 恥ずかしいですっ!」
鎖骨辺りから胸元に いくつもの紅い華が散っており
それが酷く艶めかしく より恥ずかしさを増して
ルティは急いで法衣の前を押さえて
泣きそうな顔でディルを睨む。
「なんなら 体中に付けてやってもよいのだよ?」
「嫌ですっ!!」
にやりと意地悪そうな笑みを湛えて
傍を離れたルティに手をわきわきと伸ばしながら近寄ろうとするディルに
ルティは恥ずかしさのあまり
泣きながら距離を取る…
そんなやり取りでひとしきり遊んだ後
ルティはお返し!とばかりに ディルの胸元を遠慮がちに開き
鎖骨辺りに口づけをしていった。
そこには淡い 桜色の所有印…
鏡でそれを確認したディルは
妙に嬉しくて 研究に再び集中した。
そして…
「イクス これを飲ませて欲しいのだ…
まだ完全じゃないし 打たれた薬について解明してはないが
この薬で 時間は掛かるが解毒出来ると思うのだ…
完全ではないのが申し訳ないが…」
「いや 十分だ…ありがとう…」
その日の真夜中
やっとイシュアに打たれた薬を中和する物を作ったディルは
イクスの元に駆けつけ その瓶を渡す。
申し訳なさそうなディルに
イクスはやっとやつれた顔に笑顔を見せ
礼を言うとそれを受け取り
それを未だ目を覚まさないイシュアに口移しで飲ませてやる…
「後はこのまま 明日の朝まで様子を見よう…」
そのまま…
朝を迎えた…
眠り姫がもうすぐ目覚め
新しい朝を迎える…
それは光か闇か…
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COMMENT
No Title
おかしい……まだネタにさえしてないのに!? な心境ですw
何かもう色々ハラハラする事があって、もう皆が早く幸せになりますように!! と祈るばかりです。
東雲様
なんか嬉しい☆
いやぁ、地下=実験室ってイメージだったんで、勝手に実験室にしてしまったんですが、その通りだったので良かったです♪
で、きっと 誰も来なくて、暗くて 声も漏れないですから、ディルがルティとこれから地下でなんぞやしているとか勝手に想像して、色んな事妄想して、ちょっとヤバくなってる地下室ネタです…
済みません(汗)
すっかり 長くなってますが、やっとイシュア編はもうすぐ終わるかな~ とか思ってます…が…どうなるだろう;
そしてそのまま、ルティ編に続いて、更に長くなると言う…
でも、皆幸せになれたらいいな~とか 思っています☆
(いや 幸せにしてやれよ…;