「にーちゃん はやく~」
コモドフィールド04…ココモビーチ
ここにイルシアはウォレスと来ていた
イルシアはカートを引きながら 元気に先を掛けてゆくウォレスを
眩しそうに見つめる
「ここら辺でいいかなっ」
ビーチの端の岩場まで来たウォレスは辺りを見回し
満足そうに頷く
この周りから影になった場所ならば
そうそう敵などからも見つからないだろう
「クーリィー ちゃんと見張ってるんだぞ?」
「くるぅぅ~」
傍で飛んでいたファルコン クーリィーにウォレスは伝え
クーリィーは元気に鳴いて答える
「さすがにウォレスは元気がいいな?」
「そっかなぁ?
ほらにーちゃん ここなら敵もそう気付かないだろっ」
「そうだな」
追いついたイルシアは 元気にはしゃぐウォレスの頭を撫で
ウォレスは軽く首をかしげるが
すぐに元気よく飛び跳ねる
「よぉしっ!泳ぐぞっ!」
「おいっ 随分早いっ…ウォレス~ 準備体操しろっ」
バッとハンターの服を脱いで放り出し
明るい若草色の海パン一枚になり
そのまま海へと走り出してしまい
イルシアは慌てて 声を掛ける
「大丈夫だよ~っ 早くにーちゃんも来いよ~っ」
「はぁ 全く…」
やれやれと苦笑しつつ 自分のカートにマントと上着を置き
上半身裸になって ズボンの裾を膝上まで曲げてから
海へと入り 後を追いかけて
「あれ?にーちゃん海パンは?」
「いや…本当にここで泳ぐとは思わなくて…
持ってきてない…」
「なんだよ~ 折角の海水浴だぜ~
持ってこないとっ!」
「次は持ってくるよ」
「約束なっ!おりゃっ!」
「うわっ」
中途半端な格好できたイルシアに
ウォレスは首を傾げて尋ね
イルシアは申し訳ない様に頭を掻きながら答え
次に来るときは持ってくると約束すると
ウォレスは上機嫌でイルシアに向かって海水を掬って飛ばし
イルシアはその屈強な体で慌てて
「へっへ~」
「いきなりは卑怯だぞっ ほらっ」
「きゃ~~~」
生意気そうな笑顔を向けるウォレスに
イルシアは楽しそうな笑みを浮かべて
ウォレスに掛けてやると
嬉しそうに逃げまどい
「はぁ…そろそろ弁当にするか ウォレス」
ひとしきり海水を掛けあったり お互いに追いかけ回していたが
さすがに照りつける太陽の元
熱くなり疲れてきたのか
イルシアは額の汗を拭い
ウォレスに尋ねる
「そうだねぇ…っ!」
逃げるのを止めたウォレスは
額の汗を拭うイルシアを見ると
思わず動きを止めてしまう
クルセイダーになってもおかしくない
がっしりとした体に腹筋まで割れた整った躯
男らしい整った顔に 切れ長の目
額の汗を腕で拭う姿すら かっこよくて
ウォレスは思わず顔を赤くして見惚れてしまう
「ウォレス?」
「おぉぉぉ?な なんだっ?そうかっ 弁当だよなっ
弁当食べようぜっ」
動きを止めてしまったウォレスにイルシアは不思議そうに
声を掛けるが
びくっと反応したウォレスは慌てながら俯き
急いで隣を抜けて 海岸に向かって走ってしまう
「………ヤバいなぁ…」
走り去ってしまったウォレスを見ながら
イルシアは思わずぼそっと呟く
まだまだ幼い部類に入る子供なのだが
いや 子供故なのか…
可愛くて仕方なくて
つい 抱きしめてしまいそうになる
それも、今までの可愛いと言う想いだけではなく
愛おしい という感情が付いて回る
何より、今の姿を見て ドキドキしてしまう…
息子を見る父親の感情ならいいんだけど…
違ったらヤバいなぁ…
いや…十分変態かもしれん…
なんとか 気付けばにやけてしまう顔を落ち着かせ
赤くなっている気がする頬を叩いてから砂浜へ足を進めた
「ぷはぁ~ うまかった~」
おにぎりとペコ肉のからあげ 卵焼きというシンプルな弁当を
食べ終えたウォレスは満足そうに声を上げて
「あぁ 本当にうまかった…
ウォレスは料理が上手いな?」
イルシアは弁当の後片付けをして
満足そうなウォレスの頭を撫でてやると
ウォレスは嬉しそうに笑みを浮かべ 頬を赤らめ
「簡単なのでごめんな?
今度はもっと豪華なの作ってくるよっ」
「豪華なのも嬉しいが、俺はお前とこうやって食べるのが
一番美味いから 簡単なのでもいいんだ」
小さく謝るウォレスに
イルシアは頭に手を乗せたまま静かに微笑む
(このにーちゃん…やっぱ天然っ)
ウォレスの小さな胸はどきどきする
イルシアの顔を見れば その言葉が嘘じゃないのは分かる
照れ屋のくせに すごく恥ずかしい事をさらっと言ってしまう
恐らく どれだけ自分がキザな事を言ってるかなんて
自覚ないんだろうな…
「さぁて 着替えたら帰るか?
あんまりその姿でいると 風邪ひくぞ?」
「そ そうだなっ」
ウォレスの心中など全く分かっていないイルシアは立ちあがり
帰る事を促すと
ウォレスも慌てて立ち上がり 服を着ようと手を伸ばすが
「ウォレスっ!!危ないっ!!」
「え…?うわぁっ!!」
イルシアが駆け付けるよりも早く
いきなり岩陰から現れたチンピラは
ウォレスの手を掴んで消えてしまった
「インティミデイト…
くそっ!クーリィーっ ウォレスを探せっ!!」
「くるるぅぅ~~っ」
顔を青ざめたイルシアは 拳を握りしめ
そのまま走りだし
空を旋回するクーリィーに探す様に叫んだ
「ってぇ…なんだよっ!」
「餓鬼がイキがってんじゃねーぞ…」
いきなり連れ去られたウォレスは地面に叩きつけられ
チンピラを見上げて文句を言うが
相手は低く吐き捨てると ウォレスの上にのしかかり
「っ!?なっ 何しやがるっ!!」
「餓鬼を鳴き叫びさせながら、ヤルのが俺の趣味でな…」
「やめっ…!!」
(イルシアにーちゃんっ!!!)
大の男相手に腕を掴まれ抑え着けられると
小さなウォレスが動く事も出来ず
海パンに手を掛けられ それを脱がされそうになり
心の中でイルシアの名を叫ぶと同時に…
「このクソ野郎がっ!!!」
そんな言葉と共に ウォレスの上に乗っていたチンピラは
凄まじき殴る音と共に吹き飛んでいってしまった
「…え?」
「大丈夫かっ?ウォレスっ!」
驚いて固まってしまったウォレスを
突然現れたイルシアが慌てた顔で心配そうに抱き上げる
「何もされてないかっ?怪我してないか?」
「え…えと イルシアにーちゃn…
さっきの…チンピラは…?」
まだ呆然としたままのウォレスに
何かされたのではないのかと 心配そうに顔を伺い
ウォレスはおそるおそる尋ねる
「あぁ どっかいった…」
吹き飛んだらしい先には チンピラのドロップが落ちている
アルケミにはあり得ない その威力…
「にーちゃん すげー…」
それも素手で相手を殴って倒してしまった事を改めて知ると
思わずウォレスは呆然と呟く
「お前が連れ去られたんだ…必死にもなる…
よかった…無事だったんだな…」
「にーちゃん…」
何もされた訳ではない様子に
イルシアはほうっと深いため息をついて
ぎゅっと腕の中の相手を抱きしめ
「…しっかしにーちゃん 早かったな…」
「あぁ クーリィーが見つけてくれた…」
「そっか…ありがとな にーちゃん」
「お前が無事ならそれでいい…」
「…ん…ありがと…」
自分の顔をウォレスの胸に押し付ける様に抱きしめるイルシアが
小さく震えるのを見て
ウォレスはなぜか泣きそうになり
そっとイルシアの頭を抱きかかえる様に抱きしめ
小さく礼を言った…
「今日はお礼に夕飯作ってやるよっ」
「それは有難くごちそうになろう」
「何がいい?」
「そうだな…お前の得意な料理は?」
「シチューかな?」
「じゃあ帰りに美味しいパンを買って帰るか?」
「うんっ!」
そう二人で話しながら 手を繋いで
夕暮れのプロンテラの街をパン屋に向かってあるく二人がいた
傍からみれば親子ではあったが
二人はそうやって共に歩ける事が幸せであった…
ココモビーチのチンピラの間には
素手で自分達を殴り 倒してしまう
ナイト達などよりも
凶悪なアルケミストの姿をした悪魔がいると
そんな噂が流れているとかいないとか……
[1回]
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COMMENT
ありがとうございます!
ショタの海パン、腹筋割れたケミ・・・ぐふふふふふー^m^
それにしてもイルシアさんのグーパンチは痛そうですなwきっとStr極振りなんだ・・・。
二人でご飯食べている姿がとってもらぶらぶしぃです0(*≧ω≦*)0
お互いがちょっとずつ意識した感じの、にじにじした照れとかトキメキとかが、たまらないですッ!!
突然の無茶臭いリクエストに応えていただき、ありがとうございました!!とっても美味しかったです!!
お礼にチンピラcが出るように呪いを掛けておきますね(*σ・∀・)σ・・・・☆シュビーン
もちきん様
イルシアは戦闘型なのもありStr寄りですが、ここはやっぱり愛!の力がこれだけのパワーをイルシアに与えたのだと思います☆
えぇもう…ウォレスが一番大好きで大事なイルシアですから(笑)
ちょっとずつ この二人は進展していくのかも…?
この二人も、この先色んな事件に巻き込まれていくと思いますので、どう二人がらぶらぶカップルとなっていくかお楽しみ下さい♪
リクエスト 有難うございますw