~イシュア
「やっ!!」
プロンテラの街のすぐ隣のフィールドで、おれはクリスマスオークウォーリアを兄さんとシオンさんから貰った剣で切り付ける。
そこからドロップされた物を見て、おれは小さくため息をつく。
「はぁ・・・やっぱり出てこないな・・・プレ箱・・・
後、どれくらい残ってたっけ・・・」
手元のクエスト表を見て、倒した数を見る。
今回 サンタさんからの依頼で討伐する選んだモンスターは
クリスマスウォーリアーと、ぽりん それにクリスマスゴブリン
これならなんとか少し時間掛かっても倒せると思って選んだけど
何とかなってはいる・・・
でも、このイベントのおれの目的はプレ箱・・・なんだけれども・・・
困った位出てこない・・・
どうもチュンイーを連れていれば、ドロップ率もあがるらしいけど、チュンイー所かぽりんですら、孵化機を買うお金も無いし、エサのリンゴジュースの元であるリンゴもほとんどない。
もちろん買えるはずもなく・・・
だから、こうしてただ延々狩ってるしかないんだけど・・・
そうして、それぞれの討伐数も超える頃・・・
「やったっ!」
ぽろりと出てきた、かわいいプレ箱
出来れば、ラッピングしてないプレ箱がほしかったんだけど、それはどうしても出て来なくて・・・
「でも・・・もう時間無いしな・・・」
そのプレ箱を手に持って、おれはリジェクトさんとの待ち合わせ場所であるアカデミーへと向かう。
アカデミーのいつもの場所に、かっこよく髪型を変えたリジェクトさんの背中
なんだかどきどきしながら、後ろから駆け寄って、ぎゅ~って背中から抱きしめる。
「お待たせしましたwリジェクトさんっ!」
そして初めて手にしたプレ箱を貴方に渡そう。
出来れば、よい物が出てきます様に祈りを込めて・・・
~ルティ
『イシュアくん プレ箱出たの?』
『はいっ!丁度リジェクトさんと約束していたので、今から渡してきますねっ』
それぞれの場所で、プレ箱をゲットする為にクエストを進めていたイシュア君から、ウィスが届いた。
そうか・・・イシュア君はもうプレ箱が出たんだ・・・
同じモンスターを相手に狩りをしていたボクは小さくため息をつく。
「羨ましがっても始まらないよね・・・」
そう呟きながら倒したクリスマスゴブリンから、ぽとりとプレ箱が出てきたのだった!
翌日
クリスマスイベントが開かれているルティエでディルさんと待ち合わせをして、大きなモミの木のツリーの裏側でドロップしたプレ箱を手渡す。
「本当は・・・名前を彫った銀の指輪を贈るつもりだったんですが・・・」
そう・・・本当は名前を彫った指輪をディルさんにプレゼントしたかったのだけど、肝心の指輪がどうしても手に入らなくて(買うお金も無かったし)プレ箱だけになってしまったのだ・・・
イシュア君がリジェクトさんの名前入りに指輪をしているのを見て羨ましくて、ディルさんにつけてほしかったんだけど・・・
「これを使えばいい・・・」
そうして渡されたのは、まだ名前が彫られていない銀の指輪だった・・・
出来る事なら自分で手に入れたかったけど、それも今年は出来ないから、今回はその行為に甘える事にした・・・
このお礼は必ずしますっ!
急いで指輪に名前を彫りに行ったけど、自分の名前入りのプレ箱ではないと出来ないみたいで、肩を落とすボクに再びディルさんはチュンイーの卵とごはん、そして孵化機を渡してくれる。
「チュンイーを連れている方がプレ箱が出やすいそうなのだ・・・」
いつだってディルさんはボクを最大に甘やかしてくれる・・・
申し訳ない気持ちと、その優しさに泣きそうになりながらも、ボクはチュンイーの卵を受け取り、狩場で孵化させた。
そんな小さな彼女の名前は・・・ボクとディルさんのイメージした名前・・・
ちょっと思わず赤くなってしまいながら、ボクは再び狩りに専念した。
「ご主人さま~がんばるアル」
そんな可愛らしい彼女からの応援と共に、ボクはやっとラッピングされていないプレ箱をゲットして、急いでルティエに向かうのだった。
そしてディルさんに、やっと作れた銀の指輪を・・・出来れば左手の薬指に・・・と・・・
~紫苑
「一体アタシは何やってんのかしら・・・」
手にしたプレ箱に思わず頭を抱えてしまう。
本当にらしくない・・・クリスマスだからって、浮かれる気持ちなんてさっぱりないんだけど、つい・・・そう・・・ついなのよっ!
無駄にクリスマスのモンスターを倒してゲットしちゃっただけよ・・・
別にトーゴの為になんて言わないし、ただ単に他に上げる人がいないからトーゴにあげるだけよっ!
ペットも連れてないから、ドロップ率悪くって、無駄に倒したとか言わないわよっ
第一ペットなんて、トーゴがいるからいらないしっ
そりゃあね、名前入りのプレ箱とか、指輪とか贈れば喜ぶだろうなぁとは思ったけど、名前入りのプレ箱なんてあげたら、ずっと中を開けなさそうだし、指輪なんて・・・ずっと残ってしまうから、トーゴにアタシがいなくなった時、辛い思いをさせちゃうでショ・・・
そんなトーゴは、ウィスしたらバカみたいにあっという間にやってきた・・・
「出てきたらあげるわ・・・クリスマスだし・・・」
「なんじゃとっ!紫苑が儂にクリスマスプレゼントっ!
嬉しすぎじゃあっ!
あ・・・しもうた・・・儂はなんも用意しとらん・・・今すぐに・・・」
アタシからプレゼント貰ったトーゴは満面の笑みを浮かべて激しく喜び、すぐに自分は無い事に気付いて、走って行こうとする襟首をつかんで止める。
「紫苑・・・?」
「プレゼントなんていらないわ?だってアンタがアタシのプレゼントだもの?
さぁ・・・アタシにその体を寄越しなさい?
たぁっぷり愛してアゲルわ?」
アタシの持前の色気を含んだ笑みを前に、真っ赤になったトーゴの顔がみるみる間に青ざめていく・・・なんともその瞬間が可愛くて大好きで・・・そしてアタシのサドっ気をしっかり刺激してくれる。
うふふ 今夜は返さないわよw
涙目で怯えるトーゴを、アタシは宿屋へと連れ込む為に引きずっていく。
今夜位食べられてもいいかなって思ったけど、こぉんな可愛い顔とかされたら、もういぢめたくって仕方ないじゃないっ
アタシは最高のクリスマスプレゼントを手に、宿屋の自分の部屋へと入って行ったのだったw
~双月
「やっぱりいたね」
「なんだか恒例になっちゃてね・・・」
クリスマス
ライと旅をしていた時も、この日は必ずどこかの宿屋とかで料理を作って二人でお祝いをした。
そしてライがアサシンとなり、自分の道を行った後も、なんでかライの家でクリスマスのごちそうを作って、お祝いしていたりする。
それは、ライに仕事が入らない限り、ずっと今まで続いている事でもあった。
ライは当たり前の様に、この部屋の合鍵を僕に渡してくれたし、僕はこの日は早めに来て、料理の支度をする。
そして夜になるとライが帰ってくるのだ。
「いい加減 他の誰かとこの大切な日を過ごしたいと思わないの?」
「大切な日だから、大切な人と過ごしてんのっ
僕にとって、目の前の誰かさん以外とこの日を過ごそうなんて思わないから」
テーブルに並べたトマトソースで煮込んだチキンを美味しそうに食べてくれるライに、僕はぽそりと呟くと、食べながらライは答える。
そう・・・ライがそう言ってくれるから僕は尋ねる。
ライが他に大切な人を作り、その人と幸せになってくれる事を望んでいるのは本当・・・
そして、ライがそうして僕が一番大事だと言ってくれる事が嬉しくて、このまま愛して欲しいと願っている事もまた・・・
なんと貪欲なんだろうと、わからない程度にため息を吐き出す。
食事も終わり、暖炉の前で寛ぐライに切ったケーキを渡し、その隣で紅茶を飲む。
外は雪こそ降らないが、シンッと冷えた夜が窓の外にあった。
二人きりの静かな時間・・・
これこそ、僕の贅沢な幸せな時間・・・
「はい ライ?クリスマスプレゼント
ドロップしたプレ箱だから中身わかんないけど・・・」
「え?あぁ ありがとうっ
僕はなんも用意を・・・」
「僕は十分貰ってるからいらないよ」
渡したプレゼントを受け取ったライが少し困った顔を見せるが、僕はこの時間を貰えるだけで本当に充分なプレゼントだから・・・
「なんてねっ はい!双月っ クリスマスプレゼント!
ほらっ!開けて開けてっ!」
「えっ?え・・・っと・・・ありがとうっ・・・じゃあ先に開けるね?」
そう思っていたら、満面の笑みでソファの下からラッピングされたプレ箱を取り出し、僕に差し出すと、嬉しそうに笑いながら、開ける様に急かされてしまい、僕は何だか疑問が残りながらも、リボンを解いて箱を開ける・・・と・・・
「・・・・・・・・っっっ!!!
ライっっ!!僕はそんな子に育てた覚えはないよっっ!!!」
その中身を見た僕は、一瞬固まり、次の瞬間叫んでいた。
耳まで真っ赤になった自分を自覚しながら・・・
その中身は・・・初めて見る・・・それはそれは卑猥な・・・その・・・大人の玩具であった・・・
~イルシア
華やかなクリスマスの時期はとても好きだ
街がどこに行っても賑やかで、人達が浮足立ってる
恋人や家族・・・皆楽しそうだ
いつもなら一人だし、少しだけ寂しいって思うけど、今年のイヴはディル達のギルドのパーティーの誘われてるし、何より今は好きな子がいるから、何だか俺の心も温かい。
「恋って凄いな・・・もふもふ」
「んめぇぇぇ?」
モンスターがドロップした物を拾いながら、傍で跳ねているもふもふに声をかけると、軽く首を傾げる。
このケミに名前を付けてくれた子・・・それが俺の好きな子・・・
今も、好きな子・・・ウォレスの為に、出来るだけたくさんのキャンディとかのお菓子をゲットするべく狩りにきている。
お菓子やプレ箱を一杯集めて、二人でする時のクリスマスにプレゼントするのだ。
喜んでくれるだろうか?
ウォレスも親が亡くなってから、ずっと寂しい想いをしていた。
だからクリスマスは、思い切り楽しい想いをさせてあげたい。
そんな中、ウォレスからウィスが届く。
今夜はスパゲッティにするから、プロでパンを買って来て欲しいとの連絡だった。
なんか・・・こんなのもすごくいい・・・
だって・・・その・・・新婚さんみたいだし・・・
思わず照れて赤くなる顔を空へと向けると、いつの間にか夕暮れが近づいていた。
カートには一杯のお菓子やプレ箱。
思わず自然と笑みを浮かべてしまう自分の頭を掻いて歩き出す。
「さぁ もふもふ?家に帰ろうか?」
大好きな人が待っているあの部屋へ・・・
~ウォレス
前はクリスマスは大好きだけど、少しだけ嫌いだった
家族で楽しそうにしてるの見ると、無償に悲しくなるから・・・
だけど今年のクリスマスは楽しいっ
だって、一緒にお祝いしてくれる人たちがいるから!
イヴはなんと、リョウにーちゃん達のギルドのパーティーにイルシアにーちゃんと呼ばれてる!
リョウにーちゃん達のギルドの皆は優しくて、強くて、楽しい人達ばっかりで、一緒に過ごしていていつだって楽しい。
それに、リョウにーちゃんとアルにーちゃんは恋人同士で、そしてよくボクと一緒に遊んでくれる。
二人に手を繋いで貰って歩いてるときは、なんとも言えない幸せな気持ちで一杯になるんだ。
だから凄くパーティーは楽しみなんだ!
イヴは皆で過ごして・・・そして、翌日のクリスマスは、イルシアにーちゃんと一緒に過ごす。
隣の部屋に越して来てくれたにーちゃんだけど、ボクが心配だって殆どをボクの部屋で過ごして、一緒に寝てくれる。
そんなにーちゃんの為に、どんなごちそうを作ろうかな?
なんと今年はケーキも手作りの予定だ!
イシュアにーちゃんとルティにーちゃんが教えてくれる事になったし、ごちそうも手伝ってくれると言ってくれた!
他に何がいいかな・・・
イルシアにーちゃんには、一番初めに出てきたプレ箱をプレゼントする予定。
他には何がいいだろうか・・・?
「クーリィー!今年のクリスマスは楽しみだなっ」
「くるぅぅぅ~~」
ボクの上でくるくる回りながら飛ぶクーリィーの話しかけると、クーリィーも元気よく答えてくれる。
今夜はクリームスパゲッティにする為に、牛乳とかパスタやキノコが入った袋を抱えて家路につく。
「あ・・・スパゲッティにはやっぱパンだよね・・・イルシアにーちゃんよく食べるし・・・
今から買ってこようかな・・・・・・」
ふと思いついた。
スパゲッティだけでは、あのイルシアにーちゃんには足りない。
パンを買うためにプロへ戻ろうと思った時に、ふと プロ周辺にいるだろうイルシアにーちゃんを思い出し、ウィスをしてみる。
『あ にーちゃん?ボクだけど・・・あのさ・・・』
こんなやりとりをしてると、共に暮らしている家族なんだとなんだか実感する。
それに・・・なんていうのかな・・・
ほら・・・新婚って感じ?
それがくすぐったくて、なんだか胸があったかくなる。
快く引き受けてくれたにーちゃんの帰りを待ちながら、ボクは夕飯の支度にかかる。
大好きな
そう・・・ボクの大好きなにーちゃんの為に・・・
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COMMENT
感想はこっちで(笑
メッセ頂いた時に自分もブログの方に今年最後の更新として各恋人たちのクリスマスイヴ、クリスマスネタをアップした時だったので、凄いタイミングにビックリしてました。
そんな大変な思いをしてイシュアとルティはプレ箱をくれたんですね(泣)
ルティはチュンイーに何て名前付けたのか気になりました。
紫苑は誰に向かって言い訳しているんでしょうwww
もう可愛くて仕方ないです。
ライはきっと「誰かさんが綺麗過ぎるからね。こんな風な感情抱いて育たない方がおかしいでしょー♪」とか言いそうですね。ご馳走様ですv
そしてオチが凄くキュンキュンして可愛い2人でした。
まだ告白してない2人なのに考えて居る事が同じって「新婚みたい」って最高に可愛かったです!!
クリスマスに素敵な萌えを有難うございました~。
紅露様へ
やっぱり折角のクリスマスなので、何とか紅露さんに捧げたくて頑張ったら、なんと紅露さんと一緒という特典付きで嬉しかったです♪
ルティとイシュアは本当にまだ弱いのと、金銭的な問題でちょっと大変な事に^^;
でもその分、大好きな人にあげたいっていう達成感が凄くありましたw
チュンイーの名前は見て頂いてのお楽しみで♪
紫苑はもう、誰に言い訳してるんでしょうねぇw
ツンデレ属性が出まくりですよ(笑)
ライったら、本当にもう 双月好きなんだなw
確かにいくら育ててもらっても、双月みたいな美人と一緒なら、逆に独占欲の方が強くなっちゃうかな?
うふふw来年はもっとこの二人が進展すればいいなぁw
おまけの二人は正直 告白してない割にはラブラブです(笑)
萌て頂いて嬉しかったです!
ありがとうございましたw