イシュア
支援プリ志望のアコライト
チェイサーであるイクスの弟。天然ボケなとにかく兄イクスが大好きなブラコン。
その生命力を犠牲にしてどんなモンスターでも滅する奇跡の歌声を持つ。その力が転職の時に教会側にバレてしまい、兵器としてその身を渡す様に言われていたが、イクスが多額の寄付金を支払いなんとか止めていた。
一騒動の後、やっと解決した為、教会からその身は狙われなくなってはいるが、その存在が多方面に知れ渡る事となり、その外見と可愛らしさも相まって、その身を色々な組織やギルド、個人から実は狙われている。最近一人でいるとやたらと声を掛けられ困惑しているが、半分はただのナンパである(笑)
相変わらずちょくちょく倒れるので、寝込む事が多いのだが、その度にお見舞いに何故か来てくれるリジェクトに好意を持っている。
イクス兄さんに恋人が出来ました…
兄さんを支え助けてくれた、チャンピオンのシオンさん。
以前は凄く怖かったけど、最近は良くイクス兄さんと一緒におれの所に来てくれたりしてくれて、たまには一緒に3人で出かけてくれるようになって…
何より、イクス兄さんがとても幸せそうにシオンさんといると笑うから、本当にシオンさんがイクス兄さんの恋人で良かったと、心から思う。
もう、おれの為に傷付いて欲しくないから…
ずっと苦しい想いをさせてしまったから…
だからどうか、幸せになって欲しいんだ。
少しだけ寂しいけど…おれが兄さんの弟だってのは変わらないし、3人で一緒にいるのだってとても楽しいから。
「イシュア ちゃんと薬は飲んだかい?」
「はい 双月兄さん」
孤児院にもなっている教会の一部屋でおれは渡された薬が入ったカップの中身を飲み、それをアークビショップの双月兄さんに渡す。
また昨日から少し熱を出して寝込んでいる所だった。
「イクスは今日はこれないらいしけど、ちゃんと大人しく寝てる様にって」
「そんな大したコトないよ?いつのも事だもの」
おれを寝かせた双月兄さんは、額を撫でてくれながら、イクス兄さんの事を話してくれて、おれは笑ってみせる。
本当にいつもの事だから…
おれの体は生まれつき病弱で、禁忌の力を使ってからは、こうやって倒れる事がよくある。
後数回この力を使ったら、おれは死んでしまうと言われるまで、この体は弱っているらしい…
だからイクス兄さんが余計に心配するのは仕方ないんだけど、情けないな…
双月兄さんが部屋を出て行って暫くした頃、ドアがノックする音にまどろんでいた意識を浮上させる。
「あ~悪ぃ 寝てたか?」
「いえ…うとうとしてただけですから…いらっしゃいませ リジェクトさん」
ドアを開けて中に入ってきたのは、パラディンのリジェクトさん。
以前おれを助けてくれて、それからちょくちょくおれの様子を見に来てくれる。
ベットから上半身を起こしたおれに、少しだけバツが悪そうな顔をして、枕元の椅子に腰掛ける。
「大丈夫か?辛くないか?」
「はい 大した事無いですよ…これ位はよくありますから…」
「そうか…あまり無理をするなよ…」
そっと大きい手がおれの頬に触れる。
その暖かさと感触がおれはとても大好きで、思わずその手に顔を擦り寄せると、とても心配そうなリジェクトさんの顔が近くて思わず顔が赤くなってしまう。
いつもならそのまま離れてしまうリジェクトさんが、じっとおれの顔を見つめて、その強い視線におれは動けなくなって…
ふと顔が近づいて…まるでそう…キスするみたいに近くなって…
唇が触れるんじゃないかって瞬間…ぎゅって目を閉じたら…額にチュッって唇が触れて…
(え…?)
っと思って、そろそろと目を開くと、なんだか赤くなったリジェクトさんが居て、そっぽを向いてしまった。
えぇと…なんだ…キスじゃなかったんだ…
って、おれはなんでこんなに残念がってるの?
自分の想いにやっぱりつられた様に赤くなったおれの頭にリジェクトさんの手が乗せられる。
「その…なんだ…元気になったら…どっか一緒に行くか…?」
「……えっと……はい……」
こちらを見る事無く言われた言葉に、少しだけ言葉に詰まりつつも、おれは頷いた。
今度一緒に出かけられる…それだけで何故だか辛かった体が軽くなる気がした。
そして多分だけど…おれはリジェクトさんが好きなんだと…恋してるんだと…思う…
そんな気がした…
ルティ
ウィザード志望マジ
火・氷系を得意とするマジシャンであり、その魔力は子供ならがら結構なモノ。アカデミーをほとんど利用せず、自力でレベル上げをしているせいか、割りと戦いは得意。
ジュノーと図書館でディルを見かけた時に一目惚れをしてしまい、それからディルを探して追いかけていた。
戦いを得意としないディルを陰ながら助けようと魔力を磨きつつ見守ってきたが、最近ディルが対人特化になった為、自分が守らずとも大丈夫だと思い、少々落ち込み中。
ディルをストーカーする程の大胆な行動をする割りには、変な所が純情なのか、未だ声を掛けられないでいる。
純情可憐で少女の様な可愛らしさを持ち、色んな人から誘われながらも、何故かいつも一人でギルドにも所属していない。
恋する乙女なストーカー(笑)
運命の出会いをしてから、ずっとディルさんを追いかけて、いつも陰ながら見守ってきた。
あまり戦いを得意としないディルさんが危険な事があったら助けようと…
倒すまではいかなくとも、ディルさんが逃げる位には時間が稼げるだけの力はあるから…
そう 思っていたんだけど…
最近ディルさんは対人特化になってしまって…
これじゃあボクが助けるなんて事も無くなってしまって…
今は、図書館とかで勉強をしたりするディルさんを遠くの席で眺めている位しか出来ない。
勇気を出して声を掛けてみたい…そうは思っても、それが中々出来ずに今までいる。
ボクは誰かと付き合える様な体では無い。
数年前まで、ある貴族のペットとして買われていたし、その証の烙印だってある。
そこから助け出され、どんな身分でもなる事が許される冒険者になったけど…
汚れた体だし、何よりそんな身の上だから、ディルさんの今後の立場にも関わってしまうかもしれないから…
だからこうやって傍で見守っていられればと思ったけど…中々人はそう思っても、気持ちは抑えられない…
「…こっそり…渡す位は いい よね…?」
小さな箱に作ったクッキーを入れてラッピングしたモノを持って、図書館で調べものをしているディルさんを遠くから見つめる。
いつも誰が来ても気付かない人だから、きっと傍に行ってこれを置いて行っても、ボクだって気付かない筈だから…
箱には 『ディルさんへ いつも遠くからお慕いしています』と書いたメッセージカードを添えて、静かにディルさんの傍に近づく。
壊れる程に高鳴る胸を何とか抑え、ディルさんの前に行くと、気付かないのを確認して、そっと前にプレゼントの箱を置く。
「いつも…見ています……」
小さな小さな…絶対聞こえない程の声で囁いてから、慌ててそこから立ち去る。
柱の陰から見守っていたけど、やっぱりプレゼントにもボクにも気付いていなかった様だった。
でも これでいい…これ以上近くに行ってはいけない…
それでもディルさんがもしかしたらボクの作ったクッキーを食べてくれるのではないかと、心を弾ませる。
早く 早くウィザードになろう。
大きな魔法が使えるウィザードに…
そして遠くからでもいい、ディルさんを守れる様に…
そう 改めて誓うのだった…
双月
支援寄りMEタイプのアークビショップ
イクスとイシュアの父親が昔付き合っていた女性との間に出来た腹違いの兄。
モロク崩壊で両親が無くなった二人を引き取り、面倒を見ている。
イシュアが教会から狙われている時に、イクスばかりに辛い思いをさせてしまった事を悔んでいる。
誰よりも二人の幸せを願い、出来る限り陰になり日向になり、二人を見守っているが、今はイクスにシオンと言う恋人が出来て、これで一人で全てを抱えたりしない事を喜んでいる。
かなりの弟馬鹿で、イクスから兄さんと呼んで貰える様になり、嬉しくてちょくちょくイクスを抱きしめて、その度にシオンに怒られているが気にしない。
今はイシュアがリジェクトが好きなのを気付いて、うまくいけばいいと、見守っている…というよりは、イシュアに何かあればよく連絡をしてあげている(笑)
のほほんとしたのんびり穏やかな性格だが、多人数を確実に支援する腕があり、その美しい声で歌われるMHの威力はパンパ無く凄まじい。
どこか抜けた様に見られがちだが、自分が動ける限りは二人に危害が加えられない様に、教会内で色々動いている?
支援系の筈なのだが、時折敵に足蹴りを食らわせてしまうのは、父親似であり、弟イクスも良く似ているらしい…
ボクの二人の弟はそれぞれ特殊な能力を持っているし、何よりそこらの女性より魅力的な顔立ちをした子達だから、正直いつも心配してる。
最近、そんなボクの可愛い弟のイクスに恋人が出来た。
顔は確かに怖いけど、とてもイクスを心から愛して、何より信頼置ける相手だ。
ずっと一人で苦しい思いをしてきたイクスが恋人を作ってくれた。
それがとても嬉しかった。
イシュアも今は体調を崩して寝込む以外は、教会に狙われなりしない穏やかな時間を過ごせている…
ちょっと最近、リジェクトくんに恋してるせいか子供なのに妙な色気が出てきてしまって、ちょくちょく男達に声を掛けられたりするのは心配なんだけど…
それに、あの事件からイシュアの力が明るみに出てしまったみたいで、狙う輩が多くて、あまり一人で行動させられないのも新たな悩みの種だ…
早くリジェクトくんと付き合ってくれると少しは安心するんだけどな…
そんな可愛い弟達が今日は揃って、久々に兄弟水入らずで過ごしていた。
「さぁ ケーキが焼けたから一緒に食べよう?
甘いのが苦手がイクスも食べれる、洋酒たっぷりのパウンドケーキだよ。
イシュアにはチーズケーキね?」
暖かな日が差し込む部屋で、イクスとイシュアにケーキと紅茶を差しだして、一緒に食べる。
甘い物を殆ど食べないイクスは、ボクの作ったケーキは食べてくれるので、彼が来る時は腕によりを掛けて作ってあげるのが、ボクの楽しみのひとつでもある。
彼らの為に作ってあげるだけでも十分楽しみだったのに…
「あの…さ…双月兄さん…
その…料理とか…菓子作り…オレに教えてくれない…かな…?」
イクスが赤くなりながら、兄さんと言い、更に料理を教えてくれだなんて!
その瞬間、自分でも凄い笑顔になったのが分かる位、嬉しかった。
「うんっイクス
幾らでも教えてあげるよ?お菓子食べ終わったら早速教えようか?」
「あっ!おれもっ…おれも教えて欲しいです…」
「勿論だよ イシュア?一緒に作ろう?」
最愛の弟達の可愛らしい姿に思わずにやけてしまう顔をどうする事も出来ず、二人をそのまま抱きしめた。
イクス…イシュア…ボクの大切な大切な弟達…
どうかこれ以上この子達が、辛い思いをしない様に…ボクが出来リ限りの事はしよう。
この命 続く限り……
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