「だからっ!おれは兄さんが一番大好きで愛してるんですって!
カルニィフィさんじゃありませんっっ!!」
「家族が一番大事なのは当たり前だろうっ
兄上やご両親より愛されるなんて思っていないよっ
あぁ…そんな家族を大事にする君も可愛いよ イシュア…
早めに兄上様にもご挨拶にいかないとだねっ」
「だから違うってっ」
自分にGPS機能でも着いているのかと思う程に あれから時折カルニィフィが現れ、その度に逃げ回る日々が密かに続いていた。
いつも蝶の羽で最終的には逃げるのだが、運悪く今日は蝶の羽を切らしていた為、プロンテラの街の中を必死になって逃げ回っていたが、とうとうその腕に捕まってしまい、力強く抱きしめる腕から逃げようと必死に身を捩り、声を荒げて。
「さぁ このまま教会へっ」
「誰がいくかっ!!」
「ぐっ!!」
半泣きになりながらも、華奢な体だった故か、なんとかその腕から身をくねらせ、思い切り足でカルニィフィの胸を蹴りつけると、くるりと空で舞って地面に着地して。
「絶対に結婚なんてしませんからねっ!!」
そう言い捨てて、胸を抑える相手を置いて、再び走り出して。
「うわっ!!」
「イ イシュア君っ!?」
人込みを抜けて必死に走っていたイシュアは、目の前を良く見ていなかった為に、思い切り誰かにぶつかってしまう。
「ゴ ゴースト さん?」
ぶつかった相手から名を呼ばれて、驚いて見上げると、そこにはゴーストがやはり驚いた様に見下ろしていた。
「す 済みません…あ…!お おれっ 急ぐんでっ…」
青ざめ涙に濡れた顔で見上げたイシュアは、耳に届いたカルニィフィの声にびくっと肩を震わせて、そのまま頭を下げて立ち去ろうとする。
「………」
「うわっ!?」
イシュアの怯えた様子に気付いたゴーストはいきなり無言のまま、両手でイシュアを抱き上げてしまい。
それに驚いて声を上げ、思わずゴーストの首に腕を回してだきつき。
「イシュアっ!あぁ 済まない…私のハニーを掴まえてくれていたのだね…
礼を言う…
さぁ イシュア?なんで逃げるんだい?
今から教会に行って誓いを立てるんだろう?」
追いついてきたカルニィフィが髪をかきあげながらすぐ傍に足を進め、ゴーストに軽く頭を下げるとイシュアに手を伸ばし。
イシュアは怯えた様に小さく震え、ゴーストに抱きついて。
「…イシュア…」
「え…?…っ!?」
「なっ!?」
ゴーストはいきなりイシュアの名を呼び、いつもと違う呼び方と、そしていつもより色香が含む声に驚いて顔を上げたイシュアは、いきなりそのままゴーストの唇に自分の唇を塞がれてしまい。
その様子に目をカルニィフィは見開いて。
「んっ…っ…ふっ…はっ ぁっ…」
「ん…いつもの通りにイシュアとのキスは甘いな?
…悪ぃけど こいつはオレの彼女だから諦めてくれねぇかな…
こいつはオレにぞっこんなんだよ」
唇を重ねて、そのまま舌を口腔へ差し入れ、濃厚に絡め合わせてから、やっと唇を離し、酸欠状態のイシュアはぐったりとゴーストの肩の顔を埋めて。
ゴーストは笑みを浮かべたまま甘い声で囁き、ちらりと固まったままのカルニィフィを見ると、きっぱり言い放ち。
「な…なんと言う…
私の天使が…こんな 聖職者とは名ばかりな様な男と…
いや…イシュアが選んだと言うならば…良い男なんだろう…
ボクと4年も会えなかったから、きっと寂しかったんだろうし…
だがっしかしっ!イシュア ボクは諦めないよっ
必ず君の心を虜にして、君がボクに昔の様に惚れてしまう様に頑張ってアプローチをするよっ!
今日の所はこれでは 二人の仲を邪魔するピエロになってしまうから大人しく引き下がるよ…
愛しているよイシュア…
必ず…必ずボクの花嫁にしてみせるっ
さらばだっ」
青ざめて肩を震わせるが、小さく首を振ってため息をついたカルニィフィは項垂れたまま、ゴーストの事をけなすも すぐに言い替えて再びため息をつき。
ビシィッと効果音がつく程の勢いで指をゴーストに刺して、必ず自分の虜にすると宣言して、そのまま走って立ち去ってしまい。
「…自信たっぷりだな…」
「え えと…ゴースト さんっ…あのっ…」
立ち去ってしまった相手を見送ったゴーストは、ため息混じりに呟き、その腕の中で真っ赤になってイシュアはゴーストを伺い。
「あ ありが とうございました…え えとっ…」
恋人の振りをして、自分を助けてくれたのは分かっているのだが、濃厚に口づけされてしまった事に耳まで真っ赤にして、どう言っていいか分からずに焦った様に言葉を詰まらせ。
「悪かったな…あぁ言えば諦めると思ったんだけど…
諦めなかったな…あいつ…」
「い いえっ!悪いのはおれですからっ!
その…おれなんかの恋人にしてしまって…ごめんなさい…」
好きでもない相手の恋人の振りをさせてしまった事に申し訳なくて、腕の中で目に涙を溜めながらイシュアは謝る。
「おれ カルニィフィさんの所に行って 誤解解いてきます…
ゴーストさんに迷惑 掛ける訳にもいかないし…
最悪…カルニィフィさんの言う事聞けば 大人しくなってくれるから、皆さんに迷惑はかけませんし…
…えと 下ろして 貰っていいですか…?」
このままだったら、ゴーストに迷惑が掛かってしまう…
それはイシュアが望む所ではなく、カルニィフィの誤解を解く為にこれから相手の所に行くつもりのイシュアは、いつまでも下ろさないゴーストを戸惑う様にみつめるが、ゴーストの腕は緩む事なく、そのまま青石を取り出して、ポータルを開き。
抱き上げたまま飛び乗った先は、ジュノーであった。
「いつどこであいつがイシュアを連れ去りにくるか分からねぇから、宿まで送ってゆく…」
「あ 有難うございます…
でも、今からカルニィフィさんの所へ…」
「行かなくていい…オレが恋人だって思わせておけ…」
「え?で でもっ…迷惑かけっ…」
「迷惑じゃない…あんな変態な所に嫁にいく位なら、オレの所に来い…」
「はぇ…?」
腕に抱えたまま宿の方へ歩くゴーストの肩に掴まりながら、今からカルニィフィの元へ行くと言うイシュアに、ゴーストから思いがけない言葉が発せられ、思わずイシュアは目を丸くして、その顔を伺う。
夕日に照らされた顔は赤くそまり、真っ直ぐ前を向いている為に表情は読み取れず…
(…冗談…だよ ね…?)
唐突に言われた言葉に、イシュアは思わずドキドキしてしまい、きっとノリで言った冗談だろうと結論着けながらも、赤くなる顔は抑えられず、大人しくその腕に抱かれたまま肩に顔を寄せて、ただ二人は無言で宿屋へと向かったのだった……
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COMMENT
No Title
いやぁ、半分冗談、半分本気でゴースト×イシュアって言ったのですが、良いですね♪ 年差は兄と一緒だし、問題は身長差ですよね(笑) 192cmあるので、若しかしたらペコに乗ったら丁度良いかも!? 何て妄想膨らむじゃないですか!! ご馳走様ですv
あ、キャラは咋に名前だけで中身違うがな! ってな感じにならない限りは好きに使って良いので大丈夫ですよ♪
変換ミスって良くありますよね。この単語使った事無いのにどうして先頭に来る!? ってな感じで……
「……自身たっぷりだな……」→自信、ですよね? 自分の方も第一候補が自身になってる(泣)急いでいる時に滅多に使わない漢字がトップに来るとイラっとします。
乱文、失礼しました。
東雲様
実際ゴースト×イシュアってどうなんだろうとか思ってたんですが、これが案外お互いに ゆっくり愛を育ててゆく様なタイプなんじゃないだろうかとか ちょっと思ってしまい、かなりハマりそうなカップルです☆
ってか ゴーストさん マジ男前ですよ!
イクスもカッコいいけど可愛いと美人さんなので、ゴーストはそのまんまカッコいい男性って感じで♪
もし カルニィフィにライバル?って存在がいるとしたら、本当のゴーストさん位しか思いつかず…
で、きっと何も言わなくても、イシュアを嫁にっ!とか言う存在が目の前に現れたら オレのモンだから…とか さらりと言っちゃってくれそうでw
何より この身長差ってかなり萌!
クルセになってペコに乗っても 結構あっさりゴーストはイシュア唇奪えちゃうんですよww
出かける時とか サラッと行ってらっしゃいのちゅ~wとか してくれそうで…やばい 妄想が…
今はイシュアはイクス大好きですけど、ゴーストはゆっくりイシュアとの絆を育てていってくれそうな大人な雰囲気なので、これから時折 デートに誘ったりとかするのかな~w
えへへ…また妄想がww
おうっ!またありましたね 変換ミス;
いつも教えて下さって本当に助かりますっ
見直ししても やっぱりどっか抜けてるので…(汗)
済みませんが これからもご指摘お願いしますっ