「紫苑っっっ~~っ!!!」
ハイウィズの紫苑は一人、プロの街中を歩いていた。
そんな自分の背後から、大きな声で自分の名前を叫ばれ、思わず後を振り返ると、遠くから、土煙を巻き上げそうな勢いで走ってくる人物がいた。
その人物が自分にタックルする瞬間、ひらりとマントを揺らして紫苑はかわし、その相手は無残にも顔面から石畳に突っ込んでしまう。
「何でよけるんじゃ…紫苑…」
「じょーだんっ
アンタにあの勢いで抱きつかれたりしたら、アタシのかよわい体が折れちゃうわよっ!!」
赤く擦りむいた顔をさすりながら、チャンピオンのトーゴは涙目で悲しそうに訴えるが、紫苑は冷たく言い放つ。
「で…今日はどうしたの?仕事だったでしょ?
それとも、アタシに食べられにきたのかしら?」
立ちあがったトーゴを見上げながら、妖艶に紫苑は微笑んでみせると、嬉しそうにトーゴは笑みを返してくる。
「本当はそうじゃったらよかったんじゃが、生憎と今から仕事での…
さっき、そこの花屋で見つけて、紫苑に渡そう思うて捜してたんじゃ!」
「え?」
トーゴの手に握られているのは、向日葵の花束。
「夏らしいかろう!薔薇の花束もええが、こんな花も紫苑には良く似合うと思ったんじゃ!」
まるでそれは、トーゴの満面の笑顔の様な向日葵。
さすがの紫苑も 邪気の無いトーゴの笑顔と想いに面喰い、暫し言葉を失ってしまう。
「とうしたんじゃ 紫苑?」
「え…あ あぁ…ありがと…
向日葵ねぇ…貰ったの 初めてだわ」
「そうなんじゃなっ それは嬉しい事じゃっ!
おぉ いかんっ
早く戻らんとゴーストに怒られてしまうっ
またじゃ 紫苑っ!!」
固まったままの紫苑に心配そうにトーゴは声を掛け、ハッとした紫苑は慌ててその花束を手に取ると、トーゴは嬉しそうに笑って、再び慌ただしく走り去ってしまい。
「嵐みたいね…全く この花渡す為だけに探してたって…馬鹿じゃない?」
あっという間に居なくなってしまったトーゴに、わざとらしくため息をついてから向日葵を見つめ、ふっと言葉とは裏腹に笑みを浮かべて。
「まだ暫くはこの街にいるし、今の宿の部屋に飾ろうかしら?そうなると…花瓶が必要よね…全く、余計な買い物だわ…」
ぶつくさ文句を並べながらも、その花束を腕に抱え、いつもの妖艶ではなく、とても優しい笑みを浮かべ、紫苑は街にある雑貨店に足を運ぶのだった…
ある晴れた 初夏の日差しが優しい午後のお話…
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COMMENT
No Title
トーゴぉぉおおおお!? おま、本当ストレートな奴だな(爆) そして食われたら良い発言!? どんだけ紫苑に惚れ込んでるんだと笑いながらもほのぼのさせて頂きました。
そして紫苑のかよわい発言はスルーですか、流石トーゴですwww
図々しくも遠慮なく頂きます(日本語、おかしい)!!
ご馳走様でした~♪
東雲様
なんか、トーゴならまっすぐに紫苑に特攻してくれそうだなぁと☆
さすがの紫苑も、段々トーゴが気になり始めているので、もしかしたら 体だけの関係じゃなくなるかもしれない…とか 思ってみたり…
何気に向日葵貰って嬉しい紫苑…ちょっと紫苑 アンタ結構可愛かったのねwとか、書き手の癖に思ってしまった(笑)
勝手にトーゴを一途で紫苑らぶらぶにしちゃって済みません…それなのに、それを見事に拾って下さる東雲さんは天使やw
おまけに貰って下さって…嬉しいです♪
こんな奴と書き手ですが、宜しくお願い致します☆