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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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散り行く花へ贈る唄①

ずっと書こうと思って書いてなかった話をやっとアップできました☆
この話を書いてからじゃないと、ルティの過去の話や
紫苑のこれからの話とかが出来ないので
早く書かないと…と、思いつつ、これがまた本当に書かずサボりまくりで
やっとこさ 今更ながら書いてたりします…
でも思いの他 色々つめこみ過ぎて長くなった…
大いに反省……

そして一回で済むはずが続き物になるという……(汗
でも早めに書き上げなければ…

そしてこの話の最後は六葉さんとリレーで投げさせて頂ける事になったので
そこを目標に進めていきます☆







「っ…コホッ…!」
「イシュアくんっ!?」

本日の掃除当番であったルティとイシュア二人は、風呂掃除を一緒にしている時であった。
急に背後にいたイシュアが咳込み、口を押えて蹲ったのだった。
それに気付いたルティは慌ててイシュアの傍に駆け寄り声を掛ける。

「大丈夫っ!?今…ディルさんをっ…!」
「大丈夫です…ルティさん……」

口を押えていた手から僅かに血が溢れ出たのを見たルティは青ざめて、外出しているディルへと連絡を取ろうとするが、それをイシュアがか細い声で止めて。

「よく…幼い頃から吐血するんです…最近また…たまにする様になって…ちゃんと薬もあるし…大丈夫ですから…誰にも言わないで…下さい」

口を拭ったイシュアは少し青ざめた顔で淡く微笑み、誰にも知らせないで欲しいと願い。

「でも…」
「もう少し…あと少しだけ…冒険者として兄さん達の傍にいたいんです…クルセになるまで…だから、お願いしますっ」

今にも泣きそうで、必死なイシュアの顔…もうすぐ自分の限界が近づいていると悟っても尚、兄イクス達の傍で冒険者としていたいと切に願うイシュアに、ルティは黙って頷き。
ただイクス達に気付かれない様に、その場をしっかり掃除してやる事しか出来なかったのだった。

 


「最近…またいきなりどうしたんだろう…」

ソードマンギルドから出てきたイシュアは、最近昔の様に吐血が多くなっている事に小さな溜息をつく。
ここ数年寝込むことはあっても吐血など無かった為、ルティには大丈夫とは言ったが不安が押し寄せる。
それでもディルに診て貰えば必ずイクス達に症状は伝わってしまうだろうし、心配は掛けたくない。
何よりこれ以上冒険者を続けられないと告げられる事を一番恐れて、診て貰う事が出来ないでいた。

「っ…!?ぐっ…くぅっ…!!」

ドクンッ…と胸は突然激しい痛みを訴え、イシュアは倒れそうになるのを何とか堪え、街の中の裏筋へと入り込む。

「ゲホッ…ガッ…ごほっっ…!!!」

誰にも見つからない様な角を見付け口を押えて蹲ると、そのまま激しく咳込み、口からは大量の血が吐き出されて…。
みるみるまに広がる血だまりに、イシュアは最後の力を振り絞り手に仕込んだ蝶の羽を潰そうとするが、それより先に意識が薄れて、血だまりの中に倒れ込み、そのまま意識を手放してしまったのであった。


「むむ…これは…近くにボクの天使がいるぞっ」

プロンテラの街中…教会から出てきたカルニィフィは自分の感覚に、近くにイシュアがいる事を察知して、感じるまま軽やかな足取りで歩き始める。

「ボクの天使~♪どこだ~いw早くボクのモノに~…!?イシュアっ!?」

街中の裏手に回り、薄暗い角を明るい声で覗き込んだカルニィフィは思わず声を荒げてその場に駆け寄り、血まみれのイシュアの体を抱き上げる。

「イシュアっ!!一体どうしたんだっ!イシュアっっ!!」

今にも止まりそうな息をするイシュアに何度も呼びかけるが、その瞳は開く事無くカルニィフィは青ざめ。
昔…何度と無く吐血しながら祈っていた幼い姿とダブり、唇を噛み締めるとその小さな体を抱き抱えたままワープポータルを開き、急いで飛び込むのであった。


「サリィっ!サーシャリィー!!」
「……煩いよ…ちったぁたまには大人しく入ってこれな…」
「頼むっ!!サリィっ!!早く診てくれっ!!ボクの天使がっ!!!」

ワープポータルから出た先は薄暗い部屋の中であり、研究室とも病院とも言えぬ様な大量の医療器具や薬が壁一面所狭しと並ぶ場所で、その部屋の奥へと進みながら叫ぶと、不機嫌そうな男の声がそれを辞めさせようとするが、それでも止まる事無く必死の形相で声を荒げるカルニィフィに少々驚いた様子で一人のジェネリックが出て来た。
青白い顔に長くボサボサなグレーの髪が顔の前まで掛かり眠たそうな目が分厚いメガネから覗き込むと、歳は50かそこらの皺のある顔を思い切り顰める。

「その子は…?」
「ボクの天使イシュアだっ!頼むっ!!」
「あぁ…その子が…君が私の薬を飲ませていた子か…まずはベットに寝かせてくれ…横向きで
な?また血を吐いて喉に詰まらせるかもしれねぇから…」

カルニィフィの腕の中にいるイシュアをマジマジと見つめた男…サーシャリィーは、青ざめるカルニィフィに指示をすると、医療道具を手にして戻り、一通りの検診をすると立ち上がり。

「まずは水差しで水を口に含ませて口を洗ってやれ?点滴が終わる間に原因を調べる」
「分かった…頼む…」

点滴の針をイシュアの腕に刺して、血の入った試験管を手に奥の部屋へと向かうサーシャリィーの背中を見送ると、イシュアの頭を膝に乗せて、手渡された水差しで口の中の血を洗ってやりながら、無駄だと思いつつコルセオヒールの光でイシュアを包み込んでやり。


「サリィ…ボクの天使は一体…」
「この子…前にあった一次職誘拐事件で浚われて救出された子?」

暫くして奥から出て来たサーシャリィーに縋る様に話し掛けるが、それを遮り逆に問いかけ。

「…あぁ…そうだ…知らなかったとはいえ…ボクはイシュアを助ける事が出来なかった…」
「なるほど…やっぱりか…」

カルニィフィに告げられた言葉に、サーシャリィーは深い溜息を付く。

「サリィ…一体その事件と今のイシュアの状態がどう関わってくるんだ!」
「…表だって出て無いけど…あの事件で助けられて生き残った一次職の子達が、数か月前に死んでるんだよ…皆…。そう…血を吐いて突然ね?」

サーシャリィーから告げられた言葉に、カルニィフィは大きく目を見開く。

「この子もとっくの昔に死んでておかしくないんだけど、他より症状が出るのが遅かたって事は、余程傍に腕のいいジェネか何かがいるんだろうね?ちゃんと体に合った薬で、投与された薬を中和してる…」
「じゃあなぜ…?」
「あの男が作り出す薬に解毒剤なんてないんだよ…そして暫く体内で誰にも見つからない様に潜伏させるなんてお手の物だ。
どんなに調べたって、完全な解毒剤を作る事が不可能な薬を作り出す事が出来る…唯一の男…。今の若い連中はアイツを知らないから余計にな…」
「一体誰なんだっ!」

気怠げな目で声を荒げるカルニィフィを見つめ、刻み込まれた目元の皺をより深くして、一度大きな溜息を吐き出し。

「ヴォルガン…世界最悪で最高の腕を持ったクリエ…いや、もうジェネだろうな…」


「さて…ヴォルガンの薬ならば、私にだって解毒剤を作る事は出来ない。こうやって少しだけ痛みや吐血を押える程度が限界だ」
「そんなっ…!見捨てろと言うのかっ!!」

喰ってかかるカルニィフィにサーシャリィーはメガネを指で押し上げて、再び深い溜息を吐き出し。

「昔も…解毒剤を作ろうとして全て失敗した…今更できる訳無いだろう…
どうするカルニィフィ?
どうせ後数時間もせずに尽きる命だ…
ずっと愛してやまないこの子と二人で過ごすなら、ココを使っても構わんが?」
「………いや…イシュアには帰るべき場所も…今愛する人もいる……彼らの元に連れていく…」
「…そうか…ならば私も連れていけ…」

悔しそうに拳を握りしめ、静かに涙を零し肩を震わしながらも、カルニィフィはどれだけイシュアがイクス達と共にいる事を望んでいるか分かっている為、最後の時を自分の傍で過ごすよりもイシュアの気持ちを優先させ、泣きながら呟き、サーシャリィーから放たれた言葉に、カルニィフィは少しだけ驚いた様に顔を上げて……



そして アルデバランの宵闇の銘酒のギルドハウス前のポタを開くのであった……


 

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