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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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曲と僕と君達と

東雲さんが なんとうちの双月とウォレスをイラストで下さいましたw
そういや、双月最近出てきてないな~
と思って、ちょっとショートストーリーなどを☆
東雲さんの所の『風邪』の後の話になります。



リョウとシオンを自分のスキルで凍らせて風邪を引かせてしまった双月は
二人の風邪が治った頃
宵闇の銘酒のギルドハウスに酒持参でやってきた。
そこで曲を弾く様に頼まれて…


かなり以前に書いていたのですが、半端に書いててアップするの忘れてました(汗)
なんか取りとめのない、のんびりしたお話?



『宵闇の銘酒』ギルドハウス-

夜の静かな街中で そのハウスからは賑やかな声が聞こえていた。
そのギルドのマスター リョウを中心としたメンバーが
テーブルやカウンター着いて
楽しげにそれぞれが食べたり飲んだりしていた。


先日 風邪をひいて寝込んでいたリョウとシオンのお見舞いと、お詫びを兼ねて、双月が大量の酒を持って来て、そのまま宴会になってしまったのだった。


「なぁなぁ双月はん なんか弾いてぇな」

上機嫌なリョウはすっかり赤くなった声で陽気に隣で飲んでいたバードの双月に話し掛ける。

「ん?そうだねぇ…ここで一曲聞いて貰おうか」
「待ってました~」
「わーいっ 楽しみっ」

曲をリクエストされた双月はミニグラスを軽く指先で持ち上げ、嬉しそうに頬笑むと近くの壁に立てかけてあったリュートを手に取り、リョウとアルは手を叩いて喜ぶ。

「では…僕の大好きな君達に…」

そう呟くと、構えたリュートを優しく爪弾く。
戦いの曲ではなく、甘く優しく、そして切ない音が部屋を包み込んでゆく。

静かに優しく、聞く者の心に浸透し、穏やかで幸せな心地に心を導く様に…

不思議な異国の言葉で紡がれる歌と心地よい曲
ポロンッ…と 最後の弦が爪弾かれその曲が終わり双月は目を開くと
そこにはすっかり寝静まっているメンバーがいた。

リョウとアルはお互い寄り添う様に
ディルは椅子に背を預けたままで、ルティはそのディルの肩に顔を寄せて
イシュアはイクスの腕に支えらえる様に背中に腕を回され 頭をイクスの肩に置いて
それぞれ小さな寝息を立てていた。

「ありゃ…またやっちゃった…
さすがに二人はこれ位じゃあ寝なかった様だね?さすがだ」

その様子を見まわした双月は思わず頭を掻きながら苦笑して
カウンターの椅子に座っていたイクスとシオンに顔を向けて頬笑む。

「まぁ…それ位で寝てたら、暗殺者としては致命的だからな」

イシュアをしっかり腕に抱き抱える様に支えていたイクスは、片方の手でグラスを煽り、中身の酒を飲みほしてから双月に答える。

「聞きなれない言葉だな」
「あぁ…僕の故郷の言葉だね…
二人が知っての通り、僕は妖精の血が入ってるし、そこで生まれ育ったからね…
多少は覚えているんだ」
「…気付いていたのか?」
「あぁ…なんとなくね?
君達に正体がバレた所で、君達が何か態度が変わるとか思ってないから、始めから隠すつもりなかったんだ」

乾いた喉を潤す為に、自分のグラスに酒を注いで飲んでいた双月は、イクスからの言葉に頷き、あっさり自分の正体を口にする双月にイクスの方が少しだけ驚いた様に眉を上げるが、双月はいつもの様に穏やかな笑みを浮かべて頷き。

「僕は…随分長い時を旅してきた…
皆、僕より先に歳老いていくから、一ヶ所にはいれないしね…
下手に正体ばれちゃうと、捕まえたい人達もいるみたいだから、よく狙われちゃうしねぇ
でも、君達に会って…なんだろな…
ここで僕の役目がある様な気がしてね?
君らの傍にいる事に決めたんだ…」
「そうか…」

人懐っこい 翠の瞳を細めて告げる双月に、イクスは少しだけ笑みを浮かべ頷くと、手のしたグラスをカウンターに置く。

「ちょっと待っててくれ…イシュアを寝かせて、他の連中の毛布を持ってくる」
「世話を逆に掛けちゃったね…」
「いや…こんな穏やかな気分になれたのは久しぶりだ…
サンキュな 双月さん」

イシュアを両手で抱きかかえ立ちあがったイクスに、双月は申し訳なさそうにするが、イクスは綺麗な笑顔を見せながら礼を良い、そのまま二階へと上がってゆき。
シオンは黙ったまま、イクスの後に付いて行ってしまい。

「さて…寝たふりしなくてもいいよ?ディルくん?
起こしちゃったみたいだね」

ポロンっとリュートと弦を指先で爪弾いてから、そっとルティに寄り添って目を閉じていたディルに話掛けると、少しだけバツが悪そうな顔でディルの瞳が開かれる。

「そんな申し訳なさそうな顔をしなくていいのに」
「いや…黙って聞いてしまって申し訳ない…」

妖精の血が入ってる…その言葉を聞いてしまった事に、罪悪感の様なモノを感じてしまい、ディルは頭を軽く下げて謝る。

「だから気にしないで?ボクは別に隠してる訳でもないし、それを君が知ったからって、研究機関に売りとばしたりしないでしょ?」
「それは当たり前なのだっ!する筈なかろうっ」

済まなそうにするディルに、双月はいつのも様子でにこやかに話し掛けて、軽く首を傾げながら尋ねると、真剣な顔でディルは否定してみせ、その様子に双月は嬉しそうに頬笑み。

「逆にね…隠さず こうやっていられるのは嬉しい限りなんだよ?
こう永く生きていると、時々人ではない自分の血を恨みそうにもなる…
けれど、こうしてボクを受け入れてくれる場所がある…
それだけで、ボクは嬉しくて生きていこうと思えるんだ」
「双月…さん…」

心底嬉しそうに頬笑みながら語る双月に、ディルはつられた様に笑みを浮かべて。

「その内、リョウくんやアルくんにも知って欲しい気がするけど…
驚いちゃうかな?」
「いや 大丈夫だと思うのだよ。
ここには、貴方を否定する者など誰もいないのだ」

指先でリュートを弄りながら、二人で仲良く寄り添って寝ているリョウとアルを見て呟く双月に、つかさずディルはそんな事はないと、真っ直ぐに双月を見て告げ。

少しだけ双月は目を見開くが、すぐに嬉しそうに目ほ細めて頬笑み。


「まぁ そうな訳で、永く生きてるから無駄に色んな知識だけはあるんだよ?
多分、そこらのセージやプロフェッサーには負けないと思うよ?
だから、何か行き詰った事があったらいつでも声を掛けてくれると嬉しいな。
まだまだ君達はボクからすれば子供も同然…
もっと頼って欲しいと思うんだ」
「ありがとう…」

思ってもみなかった言葉にディルは驚き、そして照れた様に少しだけ俯いて礼を言って…






その後 中々起きないリョウとアルを寝室にイクスと双月が運び、ディルはルティを抱いて部屋に戻り、双月も客室に案内されて泊まる事になった。

静かな客室の窓から入る月の光の中、ベットに横たわった双月は光に手の伸ばす。

「こうやって永く生きるのも悪くない…
沢山の素敵な子供達の成長を見る事が出来る…
まだ ボクの役割がどんなモノか分からないけど…
見つかりそうな気がするよ…母さん…」

心地の良い月明りに触れ、満足そうに呟いた双月は、束の間の穏やかな眠りに落ちていった…



永きを生きる 妖精と人間の子双月
彼が歌う曲は今日も愛する人達の為の 愛の歌…


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