「明日 ABに転職するから…その…一緒に その場に立ち会ってくれない か?」
そうリジェクトさんから告げられたのは前日の事だった。
だから何か リジェクトさんに贈り物がしたかったんだ…
「一体何がいいのかな…?」
込み合う露店を巡りながら、一件一件並ぶ商店を見て回る。
転生3次職のABが使える物って 一体何がいいのだろう?
何より必要なモノは自分で買えてしまうだろうし…高価なモノは買うお金はない…
「箱なら…どうかな?」
かなり定番ではあるが、プレ箱や青箱ならば、大した物が当たらない確率も高いが、もしかしたらよい物が当たるかもしれない。
そう思って、露店で捜してみるけど…
「…足りない…」
沢山の露店を見て回ったけれど、一番安いプレ箱でも、当たり前といえば当たり前で、その金額はおれの手元には無い物だった。
「明日には転職……」
少しだけ悩んで、おれはアカデミーへと走った。
「どうせならサマスぺの狩りでもしてみようかな…?」
サマスぺの会場へと行き、可愛い水着を着たルーンさんに話しかけると、課題を渡される。
選んだのはアンバーナイト200匹…
今日中に大丈夫かな…?
そこからアンバーナイトがいるフィールドへ送って貰おうと思ったけど、転送料金が高かったので、一旦プロに戻ってから、そのフィールドに行こうと思ったんだけど……
一番問題は、その場所がどうしても分からなくて…
そこでアカデミーの修練所の島だったら、アンバーナイトが居るのを思い出して、急いでそこに転送して貰った。
丁度どなたもいなくて、アンバーナイトだけじゃなくて、片っ端に倒して行けば、そこそこのドロップは期待出来るはず!
そう思って、おれは兄さんとシオンさん達に貰った刀を手に向かっていった。
「さすがに…重い…」
重量オーバーにすっかりなった袋を抱え、一度アカデミーへと戻る。
イルシアさんやディルさんにお願いして売って貰えば、もっと高く買い取って貰えるのは分かっていたけど、どうしてもリジェクトさんへのプレゼントは自分で全部用意したかったから、それをアカデミーの店で買い取って貰って、そしてまた島へ行って狩って…
それを続けてやっと手元にさっき露店で見た箱の金額分が貯まって、それを握り締めて、おれはプロへと再び走った。
「…そんな…」
いくら見渡しても、さっき売っていたプレ箱は見当たらず、他の露店も見るが、どこにも箱は売って居なかった。
見つけても、集めたゼニーでは高くて買えなくて…
「どうしよう…もう時間が無いのに…
他に何か…消耗品よりは…出来れば、形が残る物で…」
焦りながら露店を見て回った時だった。
『治癒の杖』という杖を見つけて、足を止める。
もしかしたら持っているかもしれないけど…これなら、何かの役に立てるかもしれなし、転売しても少しはお金になるかもしれない…
表示価格と手元のゼニーの金額を比べると、ぎりぎり買える金額だったので、即購入した。
「これなら…プレゼントになるよね…
あ……」
渡された治癒の杖を胸に抱え、ふとその先の露店で目に入った商品におれは再び足を止めた。
そこには『ウールスカーフ』という、柔らかそうなスカーフがあった。
転生職しか付けられないスカーフで、それを付けたリジェクトさんを想像してみると、絶対に似合うだろうと確信して値段を見る。
「……間に合う かな…?」
明らかに全く手元の金額では足りない。
おれは慌てて再びアカデミーに走り、島へと降り立った……
それからまた暫くして、サマスぺ課題の200匹などとっくに越えていた頃、集まったアイテムをゼニーへと替え、ウールスカーフの金額まで到達したので露店へと走ったのだが…
すでに売っていた露店は店じまいをしていて、他の露店にもその商品を見る事は無かったのだった……
がっくりしてハウスへと帰り、その翌日…
リジェクトさんの待ち合わせの時間ぎりぎりまで、おれは露店を見て回っていた時だった…
「あった!」
捜していたウールスカーフを売っている露店を見つけて、それを購入する。
「よかったぁ…」
何とか揃えられた、治癒の杖とウールスカーフ。
正直、この二つの価値がどれくらいのモノかは分からないし、転生職であるリジェクトさん達には簡単に買えてしまう、大した物ではないのかもしれない…
そっと狩り中に何度も触れて勇気を貰った、リジェクトさんから以前プレゼントされた名入り指輪を指先で撫でる。
「喜んでくれるかな…」
この他にも回復剤か青ジェムとかプレゼントしたかったんだけど、手元に残ったゼニーは700ゼニーだけ。
少し狩りをして、ゼニーを集めよう…そう思ってアカデミーへ再び向かった時、リジェクトさんから連絡が入ったのだった…
そこでABに転職したリジェクトさんを見届けて
(思わずカッコ良くて暫く見惚れていたのは内緒…)
用意したプレゼントをリジェクトさんに手渡した。
「リジェクトさん 転職おめでとうございます!」
始め、中々受け取ってくれなかったけど、やっと受け取ってくれて
「その装備に恥じないABになる」
って言われて、おれは凄く嬉しかったんだ。
ねぇ リジェクトさん おれは今のままの貴方も大好きなんですよ?
いつか 貴方のクルセでいさせて下さいね?
そう思った言葉を そっと胸の内で囁いたのだった。
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COMMENT
No Title
イシュア可愛いwww
そして、ちゃっかり昨日イシュアに言ったセリフが使われている事に(*/_\*)
もぉこの2人の仲を進展させたいですねぇ……
昨日、月宮さんが仰った様に身長差は萌え! という感じで(笑)
あぁもう何か興奮気味で乱文になり、失礼しましたー。
ご馳走様でしたv
紅露様
ちなみに全部今回の為に作った訳でもなく、本当の話でしたw
まるで話を書けと言わんばかりに、イシュアが健気な状況になったので、どうしても言いたくてw
ただ、本当に価値が分からないままの購入だったので、そちらのお役に立てるモノだったかどうか分かりませんが^^;
リジェクトのセリフは一番ドキドキしちゃったセリフを使わせて頂きました♪
早くこの二人の仲が進展しないかな…どんな風に進展するか…な事もこのデートの時に話したかったのに、こちら都合で話せずに(;;)
少しでも興奮してくだされば、幸いですw
改めまして リジェクト転職おめでとうございます!!