ぼくが覚えている一番初めの記憶
綺麗で優しい歌声
ぼくの為だけに歌われる 歌
『イシュア 大好きだよ』
そう 歌に込められたメッセージ
ぼくはとてもとても幸せだった…
両親と過ごした記憶はぼくには無い
いつもいつも 仕事だったから
殆ど逢う事は無かった
でも一度も寂しいと思った事は無かった
だって おにいちゃんが居てくれたから
起きた時も 食事の時も
お掃除や 洗濯してる時も
寝る時も
ぼくはおにいちゃんの後をいつもついて行って
おにいちゃんはいつも一緒にいてくれた
そして ぼくを抱き上げて 歌を歌って聞かせてくれた
『イシュア 大好きだよ』
そう想いが伝わってくる おにいちゃんの歌
ぼくはおにいちゃんが一番大好きだって
伝える事が歌って出来ないから
ぎゅって抱きついて そして言うんだ
「世界で一番 おにいちゃんが大好きっ」
そんなおにいちゃんが たまに悲しそうな顔をする
「おにいちゃん 悲しいの?」
そう 聞けば
「イシュアが人参くってくれねぇからな」
って…
にんじんきらーい
美味しくないんだもん…
なのににーちゃんがあの手この手でにんじん食べさせようってする…
今日も一番大好きなハンバーグに入ってた…らしい…
知らなくて食べちゃった…
味がしなきゃ いいんだけどな~
カレーにだって入ってるし…
でも おにいちゃんとこうやってご飯を食べる最後の日
ぼくは人参をちゃんと食べた
少しでも おにいちゃんの心配を減らす為に…
だって おにいちゃんは
この日が近づく度に 悲しそうだったから
大丈夫だよって…
ぼくは大丈夫だよって…
おにいちゃんが旅立つ日
ぼくは グロリアを歌った
何度も生まれてからずっとおにいちゃんが歌ってくれた歌
上手くないけど
おにいちゃんが 大丈夫な様に
元気でいられる様に…
泣きながら ぼくは歌ったんだ…
おにいちゃんはぼくを抱きしめて
「愛してるよ イシュア」
そう 辛そうに囁いてくれた
旅立つおにいちゃんに
ぼくは初めて作ったクッキーを渡した
不格好なクッキー
ぼくは料理作るひとになりたいって思ってたから
例え かなわない夢でも…
雪が降る中 見送った…
そうしてぼくは 一人きりになった…
誰もいない部屋
至る所におにいちゃんの姿があって
ぼくは大泣きした
大好きな 世界で一番大好きなおにいちゃんがいない
逢いたくても 勝手に逢う事が出来ない
早く同じ冒険者になりたくても
後 8、9年しないとなれないって分かって
更に泣いた…
おにいちゃん おにいちゃん おにいちゃん…
どれだけ泣いたか分からない…
疲れた体で目を閉じると
聞こえてくる グロリア…
『イシュア 大好きだよ』
そう 声が聞こえる…
おにいちゃんと一緒に歌えるプリーストになろう
そう思った…
でも その後 1次職の人を狙った事件が起こって
それにお兄ちゃんが巻き込まれたらしくて
そして 呪われたということで
この地に二度と入る事を禁じられた事を知った…
なぜ?と問いただしても
両親や親族が答える事は無かった…
だから決めた
お兄ちゃんを護れる存在になろうと…
その体の そして心の傷も
呪いさせもこの身が代わりに受けられる様になるために
クルセイダーになろうと…
グロリアは歌えないけど
その代わりにぼくが護れる様になろう
そうして僕はやっと気付く…
兄さんへの大好きが 恋だって事に…
兄さん 僕は祈るしか出来ないけど…
いつだって貴方だけを想っている
もしかしたら もう恋人がいるかもしれないけど
叶わない恋だって分かっているけど
愛してます 心から…
夜空に向かって手を伸ばして
兄さんの幸せを祈って 僕はグロリアを歌う
もうけして プリーストとしては歌う事は無いけど
兄さんの為だけに 僕は…
そしておれは
ソードマンになった…
愛するただ一人の兄の為に…
[0回]
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COMMENT
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ご馳走様でした!
東雲様
そしらの書かれたイクスの可愛さに比べたらまだまだですが、子供の時のイシュアが書けて楽しかったです♪
なにより、根っからおにーちゃん大好きッ子だった設定だったので、やっとそれが出せたw
この人参嫌いっていいですよね☆
多分今でも 食べれるけど苦手なので、イクスは再びイシュアをギルドに迎えたら、何だかんだと食べれる人参料理とか作ってそうだ(笑)
いいんですね?3Pしちゃっていいんですね?
書いちゃいますようww
ふふふw楽しみです☆
これからも宜しくお願い致しますw