「よいしょっと…ふぅ やっぱり重かった…」
ディルが入ったカートをなんとか運び
イクスが取ってくれた宿屋の部屋に入ると
カートからディルの手を取り なんとか引きずる様に
ベットにディルを寝かせてやる
「しかし…ダブルベットなんだ…」
ベットに寝かせた後
その部屋には成人男性2人でも楽に寝られそうなベットがひとつ
「これだと…一緒に寝る事になっちゃうよな…
い いいのかな…?」
「んっ…」
思わず顔を赤らめて 余計な想像をしてしまうが
息苦しそうなディルの声に慌てて意識を戻し
ベットに横たわるディルの傍らに身を寄せる
「えっと…ディルさん ごめんなさい…
失礼します…」
マントは取っているとはいえ クリエイターの服や手袋はそのままであり
これではさすがに苦しいだろうと
顔を赤らめたルティは ぺこりと頭を下げてから
服に手を掛けて
筋肉はあまりついていないが
しっかりとした成人男性の体付き
鎖骨から胸元が なんとも色っぽく感じるのは
惚れた欲眼だろうか…
ベットに膝をつき 自分より大きなディルの
上着と手袋をなんとか脱がして
上半身を裸にし 靴を脱がしてやると
ふぅっと 小さく息を吐き
丁寧に服をハンガーにかけてやる
「そういえば ディルさんがこんな無防備に寝てるのって
初めて見るかも…」
両想いだと分かって あの後ルティはディルの家に
住まわせて貰っている
わざわざベットまで購入してくれて
一緒に過ごしているのだが
色々な研究や勉強をして夜中まで起きている事が多いディルの
寝顔は朝位しか見れない為
先に寝てしまったディルを珍しげに顔の覗き込む
「やっぱ…綺麗で カッコいいなぁ…」
長い睫に 柔らかな髪
酒に酔って眠る姿は少し幼くて 胸がときめく
「ディルさん…好き ですよ…
早く 僕を貴方のものにして下さい…
ふふ なんてねっ」
顔を近づけて そっと囁く
あの日 ディルだけもモノにして欲しいと願い
告白した時から
抱きしめたり キスをしたりはしてくれるが
それから先はなにもしてくれない事に実は不安があって
思わず覚えないのをいい事に囁くが
すぐにおかしそうにくすくす笑いながら 体を離す
「大丈夫…嫌われてなんかない…
だってさっきも 私のルティって言ってくれたんだし」
絡み上戸と言われたディルが
イクスの向かって そう言った事を思い出し
顔を赤らめ そっとディルの額に触れ
優しく掠める様な口づけをディルの唇に落とす
「大好き…ディルさん…っ!?
きゃあっ!ちょっ…ディル さんっ?」
愛おしげに囁き 体を離そうとした瞬間
いきなり手を掴まれて そのままベットに引きずりこまれ
あまりの事にルティは悲鳴を上げて
「ルティ…好きだ……
我慢 出来ない…」
「ディルさん…?ひゃあっ!」
ディルの胸に顔を押し付ける様に抱きしめられ
腰を抱き寄せられ 強く抱きしめ
低い声が耳元に囁かれ
真っ赤になったディルは もがきながらディルの顔を見ようするが
いきなり服に手を掛けられ
アコライトの法衣の前を思い切りはだかれてしまい
益々顔を赤くして
「ディ ディルさんっ!?どうしたっ…」
「ルティが好きなのだよ…
ずっと 我慢しているのだ…嫌われたく ないから…」
「んっ!あっ…!ディル さぁんっ…!」
間近になった顔は赤く酒のせいで熱っぽく瞳は潤み
さすがの状況に慌てたルティは 怯える様にディルを伺うが
ディルは 切なく濡れた声で絞り出す様に囁き
薄く白いルティの胸に顔を埋め
そこに薄く色付く小さな尖りをディルの口に含まれて
途端にルティの口からは 濡れた甘い声が漏れてしまい
「ん…ルティ…君が欲しい…」
「ひゃあっ…あっ!んんぅっ…!
はぁ…はぁ…ディル さん…?」
ディルからベットにいつの間にか組み敷かれ
上に覆いかぶさったディルは 熱い息を吐き出しながら囁き
くちゅりと胸の突起を吸い上げ唇を離すと
そのまま舌を胸から腹へと落としていき
その初めての感触に ルティはぞくぞくする
なんとも言えない 知らない感覚に占められ
どうする事も出来ず 声を漏らし 全身を快楽から震わせながら
自分の指を噛んで 声を押さえるも
いきなり舐める感触がなくなり
涙が溜まった瞳を下肢にいるディルに向け
「ふっ…もぉっ ディルさんったらっ!」
自分の腹に顔を埋め 事切れた様に寝てしまっているディルを見て
暫し呆然と見ていたルティは
おかしそうに吹き出し
笑いながら ディルの体をベットに横たえ
自分の上着を手早く抜いて 寝る支度をすると
その隣に滑り込み
今度こそ深く眠ってしまったディルの胸に顔を埋めて
「今度は 酔ってない時に襲って下さいね?」
楽しげにルティはくすくす笑いながら
イクスの言葉を思い出す
『酒は人を狂わすんじゃなく、普段言えない事とか、普段押し隠してる感情が現れるんじゃねぇかって思う』
だとすれば ディルはずっと自分を体も愛したくて
でも 我慢していてくれたという事になる
その本心が分かって すごく嬉しい
そうしてルティは初めて
ディルの胸に抱かれて 満足そうに眠るのだった…
勿論 翌日 ディルは自分が何をしたのかも
そして なぜお互い上半身裸だったのかも
そのルティを胸に抱いて寝ていたのかも
全く覚えていなかったのは言うまでもない…
[1回]
PR
COMMENT