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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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雪に花を捧げよう

夕飯を食べに来たイルシアが帰るのを引きとめるウォレス。
いつもと違う様子に イルシアは疑問に思う。
そして泊まった夜の事…




ウォレスとイルシアのほのぼの…と言うか
恋の始まりっぽいと言うか…
なんだかんだと らぶらぶな二人なのかもしれない?



「にーちゃん 帰るのか?」

夕食をウォレスの家で食べたイルシアは帰り支度をしていたが、その服の裾を引っ張り 寂しそうな顔で見上げるウォレスに首を傾げる。

「あぁ もう時間も遅いし、子供は寝る時間だからな…」
「…にーちゃん 泊まっていかない?」

今にも泣きそうな瞳で言われ、イルシアは暫くその若草色の瞳を見つめた後、こくり と小さく頷いた。



「我が侭言ってごめんな…にーちゃん」

一つしかないベットに二人で横たわり、イルシアの胸に顔を埋める様にして、ウォレスは小さな声で謝る。

「いや 気にしなくていい…
ウォレス…何があったんだ?」

イルシアは自分の胸に蹲る小さなウォレスの頭をそっと撫でてやりながら、いつもとは違う様子のウォレスに、短い言葉でどうしたのかと問いかけ。

暫くの沈黙が続いた後 
月明りが窓から漏れる静かな空間に ウォレスの吐き出す息が響く。

「もう すぐさ…母さんの命日なんだ…
この時期っていっつも寂しくってさ…
誰かと一緒にいたくて…
今まではずっと一人だったから…我慢出来てたんだけどな…
今は 一人じゃないのに…こうやってにいちゃんだって来てくれるのに…
すごく 寂しいって思った…
一人になるのが怖いって……
変だよね…
我が侭って分かってる…分かってるけど…
…ごめんな にーちゃん…」

震える小さな声で ウォレスはたどたどしく言葉を紡いで、ずっと秘めていた胸の内の想いを口する。
今にも涙が溢れそうなのを必死に我慢している様に肩を震わせるウォレスの体を、イルシアは包む込む様に抱きしめて、その顔を自分の胸に押しつける。

「なぁ ウォレス…
お前はまだ子供だ…
まだまだ 周りの大人に我が侭を言ってもいい歳なんだぞ?
確かに俺はお前からみれば頼りないかもしれないけど、それでもお前の我が侭を聞ける位には大人だと思ってる…
だから…たまには甘えてくれ…
泣きたい時に泣いて、怒って、そして笑えばいい…自分を俺の前では偽る必要なんてないんだ」
「っ…!」

しっかり抱きしめたまま 甘えたり我が侭でいていい事をゆっくりした口調で話し、少しだけ抱きしめた腕に力を入れてやる。
今まで 母親が亡くなってから、けして弱気な事で甘える事を封じていたウォレスは、その言葉に我慢しきれなくなり、唇を噛み締めたままイルシアの胸の中で嗚咽を漏らして…

「もうお前は一人で頑張らなくていいんだよ…
お前の辛さや苦しみを俺にも分けてくれ…」

今までどれだけの事をこの小さな体で我慢してきたのだろう…
イルシアは何より愛おしい その小さな存在を全身で護る様にしっかり抱きしめ、背中を撫でてやる。
ウォレスが泣きやみ、そのまま疲れて寝てしまってから、イルシアはウォレスの頬に無骨な指を這わし、そっと涙を拭ってやる。

「ウォレス……この想いは 一体何なんだろうな…」

眠る相手にそっと切なげに囁き、その額に口づけをして、イルシアもまた、眠りに落ちていった…







数日後…


「あれ?隣引っ越してきたのかな?」

少し前 隣の部屋の隣人が 結婚するからと引っ越して行ってから空いていた部屋に 誰かが越してきたのか、廊下に書物や箱に入った荷物やらが幾つか山積みになっているのに、狩りから帰ってきたウォレスは気付き、そっと誰が越してきたのか 開いているドアから中を覗く。

「に にーちゃんっ!?」
「あぁ ウォレス。帰ってきたのか」

驚いて声を上げるウォレスとは対照的に、部屋の中で家具など並べていたイルシアは その声に玄関を振り返り、笑みを浮かべてその前にまで足を向けて。

「ど どうしたんだ…?」
「ん?いや どうしたって引っ越してきた…
丁度アルケミストギルドの寮を出るつもりだったし、お前の隣の部屋が開いてたの思い出したからな…
これなら お前も一人じゃないだろ?」

驚くウォレスに不思議そうな顔をしながら、まるで当たり前の様にイルシアは答え、腰を落として出来るだけウォレスの視線に自分の顔を近づけて。

「もしかして…ボクが寂しいって言ったから…?」
「…まぁ…そう なのかもな…
いや…俺もお前から寂しいって言われて 嬉しくて…
あ…勝手に決めて悪かったっ
め 迷惑だったか…?」

イルシアがこんな行動を起こす事自体、あまり信じられなかったウォレスは、思い当たる事を口にして尋ねると、照れた様に頭を掻いて、それからハッと顔を上げて、勝手に隣に越してきた事に怒っているのかと、いきなり慌ててしまい。

「ぶっ…やっぱりイルシアにーちゃんらしいなっ
ははっ…すっげ嬉しい…ありがとっ」
「ウォレス…
これから 宜しくな…?」

顔を青ざめながら慌てふためくイルシアに、ウォレスは拭き出して笑い、そのまま抱きついて、イルシアも顔を緩めて微笑むと、照れくさそうにその体を抱きしめてやり。



「にいちゃん…付き合って欲しい場所があるんだ…」

片付けを手伝い、大分落ち着いた所で
ウォレスはいつもの陽気な笑顔から、どこか泣きそうな切なそうな顔でイルシアを見つめて。






ルティエの町の手前のフィールド…
雪の閉ざされ サスカッチやハティー達など
凶暴なモンスターが住まう雪の土地。
そこにウォレスはイルシアと手を繋いで雪の中を進んでいた。

襲ってくるモンスターを避けつつ 森の手前で足と止める。


「母さん ここで見つかったんだって…」

そう ぽつりと呟いたウォレスは
手に持っていた明るい黄色の花束を雪の上に置いた。

「怖くて 一度も来れなかったんだ…
母さん この花好きだったから手向けたかったけど…
怖かった……」

今はただ 真っ白な雪に覆われた大地を見つめながら
震える声で話す。

「母さん…遅くなってごめんね…
約束の花 持ってきたよ…
ボクね 大事な人と出会えた…紹介するね?
イルシアにーちゃん…
今はこの人と一緒にいるから…だから 心配しないで?
ボク…もぉ 大丈夫 だからっ…」

笑顔で話しかけていたウォレスの瞳からは
ぼろぼろと涙が溢れ出てきて、それを必死に止めようと腕で顔を擦り。
そんな様子のウォレスの頭を優しく撫でたイルシアは
カートからモミの木の苗木を取り出し、スコップで穴を掘るとその苗木を花束の横に植えて。
不思議そうに見ていたウォレスにイルシアは頬笑み。

「これがお前の母さんの木だ…
これから 一緒にこの木の様子を見に来よう?
…ウォレスのお母さん…ウォレスを産んでくれて有難うざいます。
俺はこの先 ウォレスを護っていきます。
どうか安心して下さい」

植えた苗木の説明をして、そしてその木に手を組んで祈りを捧げ、ウォレスと、そしてそこで亡くなった母親に誓う様に声に出して。

「にーちゃん…
ありがとう…」

益々ウォレスの瞳から涙が溢れ落ちて、イルシアの胸に飛び込むと、やっと大きな声でウォレスは泣き、イルシアはずっとウォレスを抱きしめて微笑んでいた…






『ウォレスを大事にしてね?』

ふと そんな声が聞こえた気がしてイルシアは苗木の方を振り向き、そこに一瞬見えた ウォレスに笑顔が良く似た女性に笑みを深くし頷くと
ウォレスを抱き上げたまま、その場を後にした…






二人が互いにかけがえの無い存在になった
そんな始まりの時…

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  • by もちきん
  • 2012/03/13(Tue)17:25
  • Edit
らぶいー0(*≧ω≦*)0ー!!
ヴォレスくん、いままでよくがんばりましたね。これらからは甘え放題して、こちらをニヨニヨさせて欲しいなぁと思っちゃいます!
朴訥としたイルシアさんが、最高に弄りたおしたい。(ぇ
それにしても、この二人はじわじわきますねぇ。イイヨイイヨ(゚∀゚)b

もちきん様

  • by 月宮
  • 2012/03/14 15:06
何気に書いてて楽しいこのカップルw
早くお互い、自分の気持ちにさっさと気付いて素直にならないかな~とか思わなくもない(笑)
もう、幾らでもいぢり倒して頂ければ幸いです!
イルシアは何だかんだとへタレだし、いぢられっこだと思ってます☆
これからも宜しくお願い致します!

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