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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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天使を見つけた日

ちょっと読み返して思った事…
レイジェルさんの独り事あるのに
カニが無いって事に今気付いた(汗
一応 ちゃんと考えてあったので
ちょっとカニ君の独り事も書いてみる…


本当は優しくて立派な男なのに
なぜか変態になってしまうカニ…
なんですが、なんかこの馬鹿がたまに可愛くなるっていう(笑)
イシュア的にはエライ迷惑なんでしょうが(爆)




カルニィフィはある日
天使を見つけた……





ボクが天使を見つけたのは 実家のあるフィゲルの町の中。
華奢で儚いその存在は 本当に天使が地上に舞い降りたのかと想う程
愛らしくて、何よりも今にも消えそうに儚くて…
一瞬でボクは虜になった。

まだ歳の頃は6~7歳位か…
それからボクは暫くフィゲルの町に滞在し、その天使の姿を追った。

天使はどうやらボクと同じ 結界一族の子らしく、
ボクも通わされていた一族の子達が行く施設に行き
歌などの練習をしていた。
窓の外へと聞こえてくる天使の声は、幼くも透明で美しく
それでいて妙な色気を含んでいて
聞く者を虜にする歌声であった。
きっと美しい声で歌うプリーストになるであろう。
その時は隣で共に歌いたいものだ…


その施設に通うのと他に
いつも天使が夕方出かける場所があった。
町から少し離れた、丘の上。
小さな白い花が咲くその場所でいつも天使は膝を折り
両手を結び、天に向かって祈っていた。
日がすっかり暮れるまで、長い時間、静かに静かに祈っていた。
教会では無く、この丘の上で…
一体…天使は何を祈っているのだろうか…?
答えが分からぬまま、ボクは何度も何度も天使の姿を追った。


天使は体が弱いらしかった。
よく熱を出したり、咳き込んだりしながら、苦しそうに歩いている姿を見た。
どんなに暑くても、寒くても、具合が悪くても…
天使の祈りが絶える事は無かった。
その日は、フィゲルに雪が降っていた。
そんな中、咳き込みながらも、天使はいつもの通り
少し大き目のコートに身を包み、丘へと歩いていった。

「けほっ…けほっ…ぐっ…はっ…」

一面白い雪の上に天使は膝を付いた途端、手で口を覆い酷く咳き込み、
華奢な小さな肩を震わせ、白い雪の上に赤い鮮血が広がっていた。

「っ!!ヒールっ!!」

本当は結界一族といえど、冒険者でも無い相手に易々と声など掛けたりしてはいけない。
ましてや、そう姿なども見せてはいけない掟がある。
それでもボクは我慢しきれず、その弱り切った体に木の陰からヒールを掛けてしまった。

「え…?」

咳き込んでいた天使は驚いた様に後を振り返る。
だか私は木の陰に隠れたまま、サンクチュアリを天使の周りに展開してやり。

「いきなり済まない…見て居られなくて…
なぜ…なぜ君は…そんな状態で、何を祈っているんだ…?」

姿を見せずに、自己紹介もなく、いきなり問うてしまった事に、思わず慌ててしまうが、
そっと天使の様子を木の陰から伺う。
天使は口元を拭いながら、驚いてはいた様だが、すぐに愛らしい笑顔を向けてくれた。

「ぼくの…にいさんの事を祈っているんです。
先に冒険者になった兄さんがいるんです…でも、事件に巻き込まれたらしくて…
生きているのか…どうかさえ分からなくて…
今すぐに捜しにいきたいけど…まだ無理だから…
だから…にいさんの思い出の場所でいつも祈っているんです…
にいさんを助けて下さいって…
ぼくは…祈る事しか出来ないけど…
早く、冒険者になって、捜しにいきたいです…」
「…君のその体じゃ 冒険者は無理なんじゃないか?
見る限り、かなり酷い様だし…」

天使の祈りの理由を聞いて、何故かボクは嫉妬してしまったのか
思わず、無理ではないかと言う本心を口に出してしまった。
それでも天使は、儚くも美しく微笑む。

「はい…多分なっても、そう長くはこの体は保たないと思います。
それでも…ほんの少しの間でもいい…
冒険者になって、にいさんの傍にいたいんです。
にいさんを探して、会って、そしてにいさんが幸せになるのを見届ければ
ぼくはもう…それだけで幸せだから…
…あの…どなたか存じませんが…
有難うございます。
貴方のヒールはとても暖かくて、気持ち良かったです」

あぁ…この天使は、自分の限界を知っている。
こんな幼いのに…
だからこそ、こんなにも美しいのかもしれない。
その限界を知ってもなお、その兄というただ一人の為だけに
美しく光り輝いているのだ…
そして、礼を言う天使のなんと可愛らしい事か…
私は心から、この笑顔を失いたくないと思ったのだ。

「君の…名前は…?」
「…イシュア です」



それからボクは、イシュアと名乗った天使の事を調べた。
そして、その両親に会い、何度も説得を重ねた。
このボクを婚約者にして欲しいと…
ボク達結界一族は、大抵子供の頃から婚約者を決められるが、
まだ天使は、いつ終わるかもしれない命だと言う理由で婚約者は無く
ボクも自分で結婚相手は捜すと突っぱねてきたから居ない。
だから、ボクがこの先 天使をずっと守り続けると約束して
なんとか彼が13歳になったら、婚約者として正式に認められる事がやっと決まった。
もうイシュアが10歳になろうとする歳の頃だった。
あまりの嬉しさにそれまで待てず、ボクは足早に天使が住む家へと向かう。
この事を報告したくて…


あぁ…ボクの天使
待っていて…
君の願いを叶えて、そしてその体の限界を迎える前には
空気の良い場所に君に似合う小さな家を建てて
共に暮らそう。
その笑顔が、光がいつまでも失われない様に
ボクがずっと守っていく。
儚く悲しい笑顔の天使…
きっとこのボクが 本当の笑顔を取り戻してあげるから…



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