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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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雪うさぎの夢~序章

いい加減そろそろ書き始めないとと思いつつ
大分たってしまいましたが
ちょこちょこ時間を見つけつつ
ルティの過去話とかそれに関わる話を書いていこうと思います

さて 一体どれくらい時間が掛かるだろうか…


まずは本編が始まる前の序章です

過去の記憶が無いルティが
最近良く見る夢は……









誰かが名前を呼ぶ…


『まるで貴方は雪の様ね…』
『私の産まれた村の名前はルティエっていうの』
『貴方の名前……じゃかわいそうだから…ルティって私は呼ぶわ…』


優しく暖かい声…


そして 辺り一面真っ白な世界…

『ルティ…貴方を……させやしないっ……
どうか……神よ…この子を助けて下さい
たとえ………じゃなくても……
すべてを忘れて…幸せになって……』

悲しい声
離れていく暖かい腕

そしてぼくは一人 雪に閉ざされた教会の前にいる

貴女はなんて言ったの?
貴女は誰?


そして ぼくは一体 誰なの…?



「…ぁ…………」


薄暗い中でボクは目を覚ます

最近よく同じ夢を見る
内容は殆ど覚えてないけれど…
でも 多分昔の記憶…
ルティエの教会で保護される前の
ボクにない記憶だと どこかで感じていた


あの人は一体誰だろう
そして ボクは一体誰なんだろう…


まるでモヤが掛かった様に思い出せない記憶を振り払う様にボクはベッドから降りる
隣のベッドで寝ている筈のディルさんはいない
まだ研究に没頭しているのだろう…
もし起きていたら何か飲み物を入れてこようと隣の部屋に入ると
そこには思った通り
大量の本を机に積み上げてそこに埋もれる様に寝ているディルさんいた

もう…またここで寝てる…
無防備に寝ているディルさんは凄くかわいい
いつもはとても大人で凄く…凄く格好いいけど
こんな可愛いディルさんも大好きだ
本当にボクはディルさんが好きなんだと実感して
思わず口許を緩めながら
そっとディルさんの背中へと毛布を掛けてあげる


「大好き…ディルさん…」

そう囁いても、深く眠っているディルさんは起きる事無く
暫くその寝顔を見つめる

凄く愛おしくて、そばにいるだけで心が暖かくなる
そして
それと同時に凄く悲しくなる…

ずっとずっとディルさんの傍にいたい
結婚は出来なくても、ずっと愛し合って共に過ごしていたい
それがボクの夢

でもどこかで
その夢がけして叶えられないモノだと感じている

記憶の無い部分がそう言っている
ボクはけしてディルさんみたいな人に愛されていい存在じゃないと…

ボクはいつまでこうして傍にいれるのだろう…



ディルさんを起こさない様に部屋をでて
2階のデッキへ上がる
冬の冷たい夜風が心地よい
ボクは他の人よりもあまり寒さを感じないから
全身の体温を奪ってしまいそうなこの寒さでも結構平気だ

膨らんでゆくお月さま
その月を見上げると
自然と涙が零れてくる

いつかボクはボクがいるべき場所に帰らなければならない
何度も何度もずっとディルさんの傍にいるのだと
そうディルさんに言ってきたのに
そう 誓ったのに…
やっぱりボクはいる訳にはいかない時が来る

(だってボクは 人間じゃなんだから…)

ふと 自然と浮かんできた思いにボクは目を見開く

人間じゃないって…?
そんな そんな事 あるわけ…

人間じゃないっていうなら ボクはなんだっていうんだっ…?

「…ふっ………っ……」

漏らしてしまいそうになる嗚咽を何とか手で口を塞ぐ事で押さえる
それでも涙は溢れて止まらなくて…

ボクは何なんだろう?
怖い…思い出すのが怖いっ…
何より それでディルさんに嫌われるのが怖いよっっ
ディルさんの傍にいたいのにっっ


叫びだしてしまいそうになるのを何とか堪え踞る
傍に…いたいです…ディルさん…

声に出してはいけない思いを心の中でそっと呟いて
やっと涙が収まってから顔を洗って部屋へ戻る



「どこに行っていたのだよ?」

部屋の中で迎えてくれたのはボクの愛しい人

「えっと…喉が乾いたので…それに月が綺麗だったんでちょっと2階で月見してました」
「全く…夜に外に行くのではないのだよ」
「わっ…!」

ベッドからこちらを少し睨む様に見ているディルさんに行き先を告げると
深い溜め息を付きながら手首を握られいきなり引っ張られる

「こんなに冷たくなって…
風邪など引いたらどうするのだよ」

ベッドの中へと引きずられ
そのまま布団の中で抱き締められる
暖かなディルさんの体温に自分の体がどれだけ冷えていたか気付く


「ボク 風邪引かないから大丈夫ですよ
これくらい平気です」
「ルティが平気でも私が平気じゃないのだよ
どこにも行くのではないのだよ」

大きく広い胸に顔押し付けられる様に抱き締められる
ディルさんの胸に顔を押し付け
その香りと暖かさを肌で感じる

ああ このままこの腕の中で溶けてしまえばいいのに…
そうすればディルさんの一部となって ずっと傍にいられるのに…

いつかこの腕はボクのものでは無くなって
他に愛する人を抱き
その愛する人との子供を抱く腕になるのだろう…
ディルさんに溶けてしまえれば ボクはずっと傍にいられるのに…

そんな叶わない夢を抱いて
ボクは幸せに包まれる
その幸せの中で なんとか涙を堪えたら
やがて訪れた睡魔に身を委ねる
今だけでもいい
ほんの一時で構わないから
もう少しだけ夢を見させて下さい

この人に愛されて生きる夢を…

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