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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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ある一日の露店のお話

ただ今 北の方に住んでいる六葉さんが
降り続く雪のせいで大変苦労されていらっしゃいまして
何もお手伝い出来ない代わりに
応援の為にリクを頂きました!
少しでも六葉さんがこれで癒されれば…

なんせ南国育ちの南国在住なので、雪かきなんてものは
今まででも数回しかなく、その苦労が想像出来ず、近くにもいないのでお手伝いも出来ませんし…

これで少しでも元気になって頂ければ幸いです


六葉さんに捧げます。

ディルとイルシアのある日の露店での ほのぼのとしたお話です☆






春の日差しが温かいある日
イルシアはのんびりと首都プロンテラの一角で露店の準備をしていた。

「あぁ イルシアではないか。隣 いいか?」
「ディル!久しぶり…どうぞ?」

そんな頭上から掛かった声に顔を上げると、親友でもあるジェネテッィクのディルがそこにいて、イルシアは笑顔で答え、自分の隣を開けてやり。


「キュィキュィっ」
「んめぇぇ~~」

ディルのホムンクルス、フィーリルのゲイルと、イルシアのアミストルのもふもふは、すぐにその背後で遊び始めていた。



「随分と温かくなってきたのだな…」
「そうだな…もう少し温かくなったら、アマツで花見もいいかもしれないね」
「…まぁ確かに…あまり行きたくないのだがな…」
「そうなのか?ディルの実家だろう?」
「実家が問題なのだよ…」

露店を広げ、時折来る客を相手にしながら、まだ肌寒くはあるが温かく感じる陽の光にディルは空を見上げながら小さく呟き、随分ディル相手には普通に話せる様になってきたイルシアは、ディルの故郷の桜の花を思い出し、花見を提案するも、すぐに顔を曇らせるディルに首を傾げて。

そんな中…

「ディル殿っっ見つけたっ!」
「っ!?ト トーゴ君?一体 そんなに慌ててどうしたのだよ?」

いきなり目の前に馬車馬の様な勢いで現れたトーゴにディルは驚き、思わず立ち上がりかけ。
隣にいたイルシアもその勢いの押されて、目を見開き。

「ディル殿っ!紫苑を抱くために、儂に媚薬を売って欲しいのじゃっ!!」


大きな声で宣言してきたトーゴに、ディルやイルシアをはじめとした、その周辺にいた者達皆、一瞬凍りついたのであった………




「で…紫苑殿に媚薬を飲まされて…その襲われたので、自分も紫苑殿に媚薬を飲ませて襲いたいと…そういう事なのだな?」

思わずディルはトーゴにアシデモを食らわし、一瞬口を封じた後、大人しくなったトーゴを自分の露店の前で正座をさせてから尋ねる。

「そうじゃっ!普通に売っておる媚薬では、紫苑には全く効かんのじゃっ
色々な薬を作っておるディル殿ならばきっと紫苑にも効く媚薬を作っているであろうと!」
「……ディル 媚薬作れたんだ…」

拳を作り力説してくるトーゴの言葉に、隣にいたイルシアは思わず意外そうにディルを見ながら呟き、その呟きに思わずディルが頭を抱えてしまう。

「まぁ…うちはその…リョウとかがへタレなのもあって…その手を薬を作る事もあるのだよ…」
「そ そっか…でも ディルの作った薬とかなら、安心して使えるしな…」

まさか自分の恋人に使う為…とは言えず、リョウ達向けにも作ってはいるので適当に誤魔化し、素直にそれを受け取ったイルシアは納得した様に照れながらも頷き。

(その内、俺もディルに頼むかな…ウォレスがもう少し大きくなってからだろうけど…)

ディルの腕を全面的に信用しているイルシアは、自分では作れない媚薬を、いつか来るだろう日の想い人へ使う為作って貰おうと模索して。
そんなイルシアの想いに気付く事無く、涙を浮かべて訴えてくるトーゴに腰のホルダーから取り出したスリムポーションの容器に入った物を手渡し。

「これは以前シオンから依頼があって作った物だ。結局使わなかったのだがな…
かなり強力であるので、もしかしたら紫苑殿にも効くかもしれん」
「おぉっ!それは楽しみじゃっ
して、幾らになるじゃろうか?」
「まだこれは誰にも試していない物だからな…効果は分からぬのだ
後程結果だけ知らせてくれればいいのだよ」
「それは恩に着る!
よしっ 待っておれ!紫苑っ!これで今度こそ紫苑を押し倒してみせるのじゃっ!
またじゃっ ディル殿っ」

媚薬の効果だけ教えてくれればとの言葉に、トーゴは深く頭を下げて、媚薬の入った瓶を握りしめて立ち上がり、空に向かって誓うと、そのまま再び疾風の様に走り去ってしまい。

「トーゴさんは…ディル達のギルドで一緒に酒とか飲んだりしてたくらいで、あんまり話した事なかったけど…本当に紫苑さんが好きなんだね…」
「まぁ そうだな…しかし相変わらず騒がしい男なのだよ…」

あっという間にいなくなってしまったその方向を見ながら、少々感心した様に呟くイルシアに、ディルは深々とため息を吐き出して。

「イルシアにーちゃんみーっけっ!!」

賑やかなトーゴの来訪からすぐに、今度は可愛らしい元気な声が人ごみから聞こえてきた途端、身軽な体がイルシアに抱き着いてきて。

「ウォ ウォレスっ!?」
「へっへ~ にーちゃんみーつけたっ!あ!ディルにーちゃんだっ!」
「ウォレス君 こんちにわ」

ちょこんと膝に飛び乗ってきた相手、小さなハンターであるウォレスにイルシアは驚いた声を上げるも、満面な笑みを浮かべたウォレスは気にする事なく抱き着き、すぐ隣にいたディルに気付くと、益々嬉しそうに笑みを浮かべて。
そんな小動物の様なウォレスに、思わずディルも釣られて笑顔を浮かべ、その頭を撫でてやり。

「丁度よかった!ディルにーちゃん ガレット買い取ってくれないかな?」
「あぁ 喜んで買い取らせて貰うのだよ」
「ありがと!イルシアにーちゃんには 狩りに行ったドロップ品の買い取りお願いしたいんだけど…」
「分かった」
「あ~ やっと見つけたぁ~」
「よくこないな沢山人がおる所でイルシアはんを見つけられんなぁ」

手にしていた袋をディルとイルシアに見せて、狩りのドロップ品を買い取って欲しいと願うと、二人とも快く返事をして、その袋を受け取ろうとした所に、ディルのギルメンでもあるアルとリョウが息を切らせて駆け寄ってきて。

「アルとリョウではないかっ」
「あれ?ディル?今日はイルシアと一緒に露店してたんだっ」

今朝 狩りに行ってくるといった二人、アルとリョウが現れ、驚いた様に声を上げるディルに、アルも驚いた様にディルを見下ろして。

「3人で狩りにでも行っていたのか?」
「うんっ ウォレスとリョウと三人で、ゴブリン村に狩りに行ってたんだ」
「うんっ!リョウにーちゃんもアルにーちゃんもすっげ強くて、楽しかった!!」
「ホンマにウォレスはえぇ子やなぁ」

ディルの問いかけに、アルは笑顔で答えて、ウォレスもまた、楽しかったのか、頬を染めながら興奮した様に元気よく答え。
そんなウォレスの様子に、リョウはまるで父親の様に顔を綻ばせながら、頭を撫でてやり。

「よーしっ ディルはんとイルシアはんに買い取ってもろうたゼニーで、3人でごちそう食べにいくでーっ」
「「おーーっ!!」」

二人にそれぞれ買い取って貰ったゼニーが入った袋を掲げたリョウは、元気よくアルとウォレスに声をかけると、二人は更に元気よく手を振り上げて声を上げて。
それこの周りの注目の的となっているのも気付かず、楽しげに話していて。

「じゃあディル 露店頑張ってね!」
「お土産にケーキ買うて帰ります」
「うむ じゃあイチゴの乗ったケーキを頼むのだよ」
「イルシアにーちゃん 今日の夕飯も楽しみにしててくれなっ」
「あぁ 早めに帰る」

にこやかにそれぞれがディルとイルシアに声を掛けて、ウォレスはリョウとアルの間に挟まれて、人ごみの中へと消えていってしまい。

「最近 リョウさんとアルがウォレスと一緒に狩りに誘ってくれるから、ウォレスが凄く喜んでいるんだ」
「みたいだな。しかし…なんというか…あの3人はまるで親子みたいなのだよ」
「そういえばそうだな…良かった。
ウォレスは母親と死に別れてるし、父親は会ったこと無いって言ってたから…
こうして本当の親でなくても、親みたいに可愛がってくれる二人がいてくれて良かったよ」
「ウォレス君はそんな境遇だったのか…
リョウもアルも両親に愛されて来なかったからな…ウォレス君が可愛くて仕方無いのだろう」

3人が消えた人ごみを眺めながら、イルシアは以前にも増して心からの元気な笑顔になってきたウォレスが、アルとリョウの存在が大きい事を改めて分かって、嬉しそうに微笑み。
ウォレスと一緒にいるアルとリョウが、自分達といる時とはまた違った心強さと、自愛に満ちた表情であったのを感じ、深く頷いて。


「イルシア…最近ウォレス君とは その…どうなのだ…?」
「えっ!?いや…その…まだ告白は してないけど…
今は一緒に住んでる…
まだ小さいのもあるけど…暫くは今のままでいいかなって…
でも、年と共にウォレスは きっとかっこよくなるし、可愛いから…
他の男や女性達が声を掛ける前には…ちゃんと告白する…」
「そうか…私の兎も…プリになったらどうなるか心配なのだよ…」
「ルティか…なんか 凄く可愛いけど…美人になりそうだもんね…」
「はぁ…今はまだ私以外いらないというが、これから沢山の男達から誘われて、そこで理想の男になんて会ったら…とか、心配が尽きなくてな…」
「うん…分かる……」



ずっとウォレス達が去った方向を見ていたイルシアに、ディルはいきなり関係を聞いてきて、それに慌てながらも、今までも何度か相談をしていたイルシアは、照れながらも答え。
同じく随分年下の恋人を持つディルは、ずっと抱えてる不安を深いため息と共に吐き出し、その言葉にイルシアもまた、同じ悩みを抱えている為に小さく呟くと晴れ渡った空を見上げて。


「まぁ 今はまだ、何事もないであろう…
イルシア 昼飯はまだであろう?食べるか?
私のルティの手作りだ」
「ありがとう 頂く」

大きく背伸びをしたディルは、カートからサンドイッチの包みを取出し、一つをイルシアに手渡すと、礼を言ってイルシアが受け取り。


時折鳥が空を飛んでいて、背後ではホムのゲイルともふもふが折り重なる様に寝ており、賑やかな人ごみに、穏やかな時間が流れていた。

「平和なのだな…」
「あぁ 本当だ…」

サンドイッチを食べながら、ふと呟かれたディルの言葉に、イルシアが静かに答えた。



そんなある日の 露店での一日……



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  • by 六葉
  • 2014/02/19(Wed)15:57
  • Edit
こんにちわ、六葉です。
態々慰労(?)リク有難うございます<(_ _)>
トーゴ……お前はきっと返り討ちに遭うぞwww と思いました。そういえば、シオンに頼まれて作った奴がありましたね。そんな古いネタを拾って下さり、有難うございます!
ディルとイルシアだとホムの存在のせいか、2人共かなり年下の恋人がいるせいか、同じ職業のせいか、同い年のせいか、ほのぼの・まったりで良いですね。
ウォレスだけじゃなくリョウ・アルコンビ入れて親子ネタまで入れてくれて、本当和ませて貰いました~。
嫌ですが、偶には大雪も悪く無いかなとか思ってしまいましたよ(爆)

六葉さん

  • by 月宮
  • 2014/02/19 16:37
うん…書きながらきっとトーゴはこの後、持っていった媚薬を紫苑から飲まされて返り討ちに合うと思います!
そして数日動けなくなって、リジェクトが代わりにまた呼ばれて雑用させられたりとかww(笑)
紫苑に効く薬と考えて、そういえば薬が効かない体質のイクスにディルが作ったのがあったなぁと思い出しまして、勝手に使ってしまいました!
済みません(汗)
イルシアとディルは割と似ている所が多いせいか、割とほのぼのと静かに過ごしてそうだなぁと♪
特にこの二人は狩りに行くと、戦闘型と製薬型なので、結構うまく狩りが出来そうですし、書いてて楽しいですw
ウォレスを出す所を書いてる最中に、不意に親子で絡めたくなってしまって、ついリョウとアルも書いてしまいました!
書いててなんだか親子な三人にかなり萌たっていうww
はぁ 良すぎですね…もしRO内で同性で結婚出来るもんなら、リョウとアルの養子にウォレスをして、二人の傍にちまっこくいるウォレスを堪能したい衝動にかられますね…
イシュアのちまい姿も萌ですが、ウォレスも萌そうw
少しでも六葉さんの和みになったならば、嬉しい限りです☆

リク 有難うございましたw

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