「ぅ…ん…」
「あぁ…イシュア…目ぇ覚めたか？」
ベッドの横にあるサイドテーブルに置いてある明りに照らされたほの暗い部屋の中
リジェクトの腕の中で眠っていたイシュアは小さな声を漏らして目を開き、その声に気付いたリジェクトもまた、うっすらと目を開く。
「水 飲むか？」
「は…い…」
体を起こそうとするイシュアに、リジェクトは声を掛けて、それにイシュアは小さく返事を返す。
最近、すっかり自分が何をしようとしているか、先に相手が分かってしまう事に気恥ずかしさも感じるが、素直に頷くと、リジェクトはそっと上半身を起こしてくれて、そのまま口移しで水を飲ませてくれる。
「んっ…」
重ねた唇の端から水が零れ落ち、何も纏わない素肌へと流れ、思わずその冷たさに小さく震える。
「はぁ…ぁ…ありがとう ございます」
「いいって事よ…ほら…来いよ…」
唇が離れ、小さく礼を言うと、リジェクトは酷く艶っぽく笑い、再び横になると手を伸ばしてイシュアを腕の中に誘う。
けしてあがらえぬ、魅力的なその腕を拒むこと無く、イシュアは再びその腕の中へと収まると、腕枕をしてくれる反対の、自分の頭を撫でるその腕に愛おしげに自分の手をそっと這わす。
「あれ？これ…傷？」
ふと 暗がりで見え辛いが、指先が当たる先に古い傷の痕の様に少し盛り上がる部分を見つけ、首を傾げる。
「あ～…まだプリの時代の…ん～…まぁ 傷みてぇなもんだな…」
「そんな…こんな酷い傷…凄く 痛かったですよね……」
リジェクトの歯切れの悪い言葉に、泣きそうに顔を歪め、思わずその痛々しい古傷を癒す様に指を這わせ。
「リジェクトさんがこんな傷を負うなんて…一体どんなモンスターにやられて…」
「いや…その…トーゴだ…」
見る見る間に目を潤ませて、傷を労わるイシュアに、口ごもりならもその傷をつけた犯人の名前を言い。
その途端、イシュアの手は止まり、大きな目を更に大きくしてリジェクトを見上げ。
「え えっとぉ…トーゴ さん？」
「あぁ…そのな…昔、キスマークの付け方を教えるって事で、俺の腕で試させたら、噛みつかれたんだよ…
それこそ骨まで食いつかれたかっていうくらい…」
「トーゴさんが……」
深いため息と共に告げられた真実に、イシュアは再びその傷に視線を移す。
未だに消えぬ傷を、トーゴがリジェクトの体に刻み込んでいる…
何故だか酷くもやっとした、薄暗い想いが心の奥から生まれ、イシュアはリジェクトの腕を自分の方へと引き寄せる。
（この想いが何だか おれは知ってる…）
そう…自分よりもずっとイクスの事を知っていたシオンに対して
そして、本当に兄弟であるアレスに対して 抱いた事のある想い
何より その時よりずっと、今の想いの方が黒くて…苦しい…
くちゅ…
引き寄せたリジェクトの腕の傷に唇を寄せると、そのまま小さな音を立てて口付け、舌先でゆっくりとその傷を舐めてやる。
「イ イシュア…？んっ……」
いきなりの行為に、リジェクトは驚いた様に小さく肩を震わせ、その腕を動かそうとするが、イシュアはしっかりその腕を抱え込み、腕の動きを封じて。
舌で濡らしたその傷に、僅かな水音を立てて、歯を立てない様に強く吸い上げる。
何度も何度もこの体でイクスやリジェクトから教わった、所有印のつけ方…
「はぁ…」
イシュアが唇を離すと、その傷の上には紅い花の所有印がしっかりと刻まれていた。
「一体…いきなりどうしたんだ？イシュア？」
微かな痛みと、背中を走る様な快楽と共に刻まれた印を付けたイシュアに、リジェクトは少しだけ戸惑う様に声を掛ける。
今まで一度も、けして自分からこの様な行為をする事が無かったのに、いきなり何故と…
「……だって…リジェクトさんの体に…他の人から付けられた痕があるのが…嫌 だったから…」
「……もしかして…トーゴの奴に嫉妬…？」
「………はぃ」
痕を付けた腕を撫でながら、その問いにイシュアは顔を上げないまま答え、思いもよらない答えにリジェクトは思いついた理由を口にすると、イシュアは小さく頷き。
「っ………！イシュア…」
「ぇ…んぅっ…！」
俯いたままのイシュアが耳まで真っ赤になっている様子に、嬉しさと愛おしさが一気に溢れ出て、いきなり顎に指を掛けて顔を上げさせると、イシュアの戸惑いなど気にする事もなく、そのまま唇を塞ぎ。
「ふぅ…っ……」
歯列を割り、口腔へと舌を強引に捻じ込み、小さな舌を翻弄する様に根元から絡み付かせて吸い上げ…答えようとするのを、まるで犯す勢いで何度も吸い、激しく絡めて…
「はぁっ…ぁっ…っ…なん でっ…」
「ふっ…まさかお前が嫉妬なんてしてくれるなんてな…嬉しすぎて、とまんねぇわ…
これから、この傷に痕を付けてくれ…ずっとだ…オレがお前のモノだっていう証に…」
「リ リジェクトさん…そんな…」
「代わりにオレはココに毎日付けてやっから…」
「ひゃっ！？えっ？やっ…あんっっ！！」
激しく犯す様な口付けから解放されたイシュアは、すっかり涙目になった瞳をリジェクトに向け、息も絶え絶えに戸惑う様に声を掛けるも、赤く艶やかな唇に笑みを浮かべたリジェクトから放たれた言葉に、恐れ多いというかの様な戸惑いと、そして嬉しさが複雑に混じった瞳でリジェクトを見上げて。
そんなイシュアにより深い笑みを浮かべると、いきなりイシュアをベッドに押し付け、その体の下へと自分の体をずらすと、大きく開かれた股の間に顔を埋め、恥ずかしさから戸惑うイシュアの内腿へと唇を寄せると、その白い柔肌を強く吸い上げて。
「ココの証はオレのモンだって証だ…毎日付けてやるから…
オレの可愛いイシュア…寝る前にもヤッたけど…我慢は…お前も出来そうもねぇな？
もう一回…愛してやるよ…」
「ぁんっ…ぁ…リジェクト さっ…」
内腿に紅い印を付けたリジェクトは、不敵に笑いながら股の間から囁き、すっかりキスと肌への愛撫に感じすぎてしまい、小さな男根を勃たせてしまったイシュアのそれに口付けをして、イシュアは腰を跳ねさせながらも、リジェクトを求める様に手を伸ばして…
（オレの女だって…意味もあるが…毎日可愛がってるから、手ぇ出すなっていう所有印でもあるけどな…
なんて意味をイシュアに教えたら、また後であいつらにどやされるかもな…）
自分の下で喘ぐ愛らしい小さな恋人を愛しながら、太腿の内側への所有印は、いつも自分が嫉妬を向けている二人への警告でもあり、自分が起こした行動に思わず小さく苦笑しながら、再び唇を重ねるのであった……
[0回]
PR
COMMENT
No Title
イシュアって純真無垢なイメージがあったんですが、嫉妬するんですね。それともイクスが絶対的な信頼を寄せ、背を身を預けているシオンや本当の血を分けた兄弟であるアレスやリジェクトという恋人の存在でしょうかｗｗｗ
トーゴはある種、モンスターじゃないでしょうか（爆）暫くトーゴを見て、むっとするイシュアが居れば良いなとか思いました。
意味をイシュアに教えても怒るのはイクスだけかと。シオンの場合はシレっとした顔で言うでしょう。言いそうになった所をママンが止めてるっていう。過保護（？）なママンと男なんだから教えても問題ないだろうなパパンです。
何か凄い乱文になってしまいました。すいません（汗）御馳走様でした～ｖ
六葉様
イシュアは純粋無垢ですよ～
元々天使みたいな子でもあるのでｗ
（イメージは血まみれの漆黒の中にいるイクスとシオンの腕の中で、闇に染まらずイクス達を癒し続ける白い天使…で実は作っている子であったり/笑）
それこそ、イクスが望むままの無垢な子なのですが、やはり大好きな人が関わってしまうと、人並みって程ではないですが、少し嫉妬とかはしちゃいます＾＾
でも、嫉妬しちゃう自分には自己嫌悪しちゃうんですが…
多分今は、シオンが自分以外の子供に優しくしたり（まぁないだろうけど）アレスが他に弟がいて（イクスは別）可愛がるとかあったら、それなりに少し嫉妬しちゃう位、皆が大好きで仕方ないのですよね＾＾
モンスター扱いなトーゴｗｗ
まぁ、紫苑も結構モンスターっていうか、珍獣扱い状態なので、丁度いいカップルなのかもしれない（笑）
トーゴを見て、暫くムッとするってより、モヤモヤした気持ちでトーゴを見て、うまく話をしたり出来なくなりそうな…
イクスは過保護な位が丁度いいですよｗ
無垢過ぎるが故に誰にでも騙されやすいですし、警戒心が殆どないので…
パパンはしれっと教えそうだｗｗ
止めるの大変だな…ママン…
しかし…こんな場所に痕なんて付けて、次イクス達に抱かれる時に（まだまだ暫くは、イクスとシオンに抱かれるのは親子のスキンシップ状態なイシュアｗ）太腿にそんな痕を見つけたイクスはどうするんだか、すっごく気になるｗｗ