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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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どれだけ時を超えたとしても、人の嫉妬は無くならない

六葉さんが書かれた
『仕事中の建前の付き合い迄、嫉妬していられない』
の続きの話を投げて頂きましたので
喜んで受け取らせて頂きましたw

ライを狙い続けている貴族の女性マデイラと、
それを阻止する為にわざわざ女性の姿で妻としてパーティ会場に
乗り込んだ双月
この二人がライを間にどうするのか…?


この話の前は 六葉さんのHPの方に乗っています☆
http://mistcrest.onmitsu.jp/ro/n108.html

こちらの話は六葉さんに捧げさせて頂きますw

そして実は書いてる最中に一度消えたというショッキングな出来事がありました(泣)
















自分よりずっと前からライに結婚したいアピールをし続け、そしてライが結婚をしても例え第二夫人でもいいという貴族の女性…
その女性に迫られていたからこそ、ライがやたらと貴族を苦手としていた事を知る。
僕が知らないライの過去…そして、そこまでライを追い詰めている事。

憂いているライを見て、どうにかしないという思いよりも嫉妬の方が先にあった。
僕以外の相手がライを好きで、そしてライを翻弄し憂いさせる程にその心を占めて、それが許されている女性…

けして自分が立ち入るべき事では無かったのは分かっていたけど、どうしても自分を止められ無かった。長い時を生きてきても、まだ自分の中には自分で制御出来ない物がある。


本当に人の嫉妬心というのは凄いものだ…改めて感心してしまう。


その感情に従って、僕はディル君から女性化する薬を貰い、再び女性化してダンサーとなった。

誰をも魅了すると言われる母に教わった化粧を自らに施し、幼児体型でもライや周りを魅了出来る様に自らをフォローする。


そしてその貴族のパーティーにシオン君を巻き込み、僕は潜入したのであった。



「ライの憂鬱を払うのも僕の…私の役目ですから」





そうして双月は潜入したパーティーでシオンに教えて貰ったその女性の姿を眺める。
金髪碧眼のまるで人形の様に美しい女性。
社交界の華となる程に艶やかな魅力的な女性であった。
でもそんな美しい女性よりも自分だけと断り続けてきてくれた事…
そう思えば酷く双月は心の奥が熱くときめくのを感じて、ふっと口元に笑みが浮かんでしまう。

マデイラというその女性は今すぐにでもライの所へ走り出す勢いであったが、周りが突進していかない様にガードを固めている為に動けない様であった。
それでも反対側に歩いて行ったライを追いかける視線だけでよく分かる。
本当に心の底からライに恋焦がれているのだという事を。

それでも…

「ライが嫌がっている以上、君にはライを諦めて貰わないといけない…」


(って…ライが例え彼女を望んでも、今更身を引く気は無いくせに…)

マデイラを見ながら小さく呟いた自分の言葉に、ふと自嘲気味な笑みを浮かべ、自身の本心がどう思っているか良く分かっている為に息を吐き出す。

ずっとライを拒み続けてきたのに、ライの元に身を委ねた途端、今までずっと抑え続けてきた想いはすっかり解き放たれてしまい、ライが恋しくて愛おしくて、そして誰にも渡したくないのだと酷い独占欲に駆られている。


(本当に…誰かを想う気持ちって、歳を取っても失われるモンじゃないんだね…)


そう一人ごちながら、マデイラにどうやってライを諦めさせるのがいいか…
そう考えていた所で、ふとずっとマデイラを見つめる相手がいる事に気付いた双月は、シオンと別れると、長い黒髪を揺らし、その方角へと歩き始めた。





(さて…そろそろ動きますか…ライ…怒るだろうなぁ…)

マデイラを見つめてた相手と暫く話した後、再びパーティー会場を見渡す。
貴族の一部はお目当ての相手の元へ行ったり、ここから他へと移動していた。
イクスもまた例外ではなく、待ちきれなかった貴族と一緒に別室へと行った様で、シオンも会場内には居なくなっていた。


その会場をゆっくりと双月はライのいる方向へと向かって歩き出す。

下された長い黒髪を白く艶めく肌に絡ませ、柔らかくもきめ細かい肌を布地がわずかしか無い服から惜しげもなく晒し、シナを作って歩き、淡いバラ色に輝く唇に魅惑的な笑みを浮かべ、長い睫に縁取られた翡翠色の瞳を伏せがちにする。

ただそこに歩いているだけであったが、相手が居ない男性達は一瞬にてその姿に目を奪われる。その肌から香ってくるのか、甘く誘い込む様な香りに貴族の男性達は双月の周りを取り囲んできた。


「なんと麗しき乙女…どうぞ私と一曲…」
「いえ…どうぞ私めと…バラ色の乙女…」
「私はイルフィット伯爵が息子、ミハエルです。何卒私めとお付き合いをっ」
「貴様っ 抜け駆けは無しだぞっ」

周りに集まった男性達は一斉に双月へと手を差し出して、次々に声を掛けて誘ってきて、俄かにそこだけ賑やかになってゆく。

その小さな騒ぎにライがこちらに視線を向けたのを感じ、双月は男性達に熱っぽく蕩ける様な微笑みを向けてやる。

「ごめんなさい。私には夫がおりますの。
ですからお付き合いする訳には参りませんわ。でも一曲位なら…」

幼い体型でありながらも魅惑的なダンサーの衣装に、まるで聖女や天使を思わせる清純で甘く蕩ける笑みを向けられた男性達は、一気に興奮度が上がったかの様に鼻息を荒くして、それぞれがダンスに誘おうとした瞬間であった。

「双月っっ」

目にも止まらぬ速さで、双月の体が一瞬浮いたかと思えば、いつの間にか男性陣の中心からライが双月を抱きかかえていた。

「ライ殿何をっっ」
「申し訳ありません皆様…彼女は私の妻でしてっ…」
「ライっ!バルコニーに向かって走ってっっ!!」

殺気立つ男性陣にライは説明しようとした時、ライの首に腕を回してきた双月が叫ぶ。その瞬間…

「ライ様っっっ―――っっっ」

ライが目に見える範囲に現れた事で今まで溜まっていた想いが溢れ出たかの様に、マデイラがガードしていた者達を振り払い、物凄い勢いでこちらに向かって満面の笑みを湛えながら走り寄って来て。
その姿が視線に入った途端、ライは双月が言うままにその華奢な体を抱えたまま走りだし。
ライを追うマデイラだけではなく、双月に魅了された男達もまた、その姿を追ってバルコニーへと走り始め。


「一体…どういう事なんだっ!双月っ!何でココにっ…」

「シッ!ライっ」

双月を抱きかかえ、バルコニーからすぐ傍に生えている木へと逃げたライは、その茂った葉に身を隠しながら腕の中にいる双月に向かって声を荒げるが、すぐにバルコニーに姿を現したマデイラ達に気付き、双月はその唇に自らの唇を触れさせて言葉を封じて。

「ライ様っ!ライ様っ…どこへ行かれたのっ」
「あぁ…麗しき薔薇の乙女はどこに……」

静かなバルコニーでマデイラと双月を追いかけてきた男達はそれぞれの目的の相手を探しながら彷徨う。

「貴方方が追いかけてくるからライ様がいらっしゃらなくなったじゃない!
折角ライ様とお会い出来たのにっ!」
「なんだとっ!お前の方こそ俺達の邪魔しやがってっ!」

全くその姿が見えず、絶望に駆られたマデイラはそこで双月を探している男達に向かって怒りにまかせて叫び、それに対して一瞬で咲いて散った花の様に姿が見えなくなった双月に心を奪われてしまった男達はマデイラを睨み付け。

「お前がライ殿を追いかけてこなければこんな事にならなかったのにっ…!
このっ…馬鹿女がっっ!!」


「っ…!」
「大丈夫だよ…見てて…?」


狂う程に恋焦がれた相手が一瞬にして居なくなってしまった激しい憤りをぶつける場所が無かった男達はまるで正気を失ったかの様にこちらを非難するマデイラに向かって拳を振り上げて、さすがにヤバいと感じたライが動くより先に双月がしっかりとライの体を抱きしめて耳元で囁きその動きと止めて。

「きゃっっ!?」
「ぐっっ!!」

周りを取り囲んだ男達から何をされるか悟ったマデイラは怯えた様に目と閉じて自らの身を庇う様に手を頭の上へと置いて身を小さくさせるが、次に感じたのは自分を包み込む様な暖かさと、痛みに耐える呻き声が聞こえてきて。

「…え?」
「っ…!お前達っ…女性に対して手を挙げるなんて…卑劣なっ」
「うるせぇっ!」
「ぐぅっ…!っっ!!」

マデイラは今現在何が起こっているのか分からず、大きな腕に逞しい男の胸に抱きしめられながら大きく目を見開くしか出来ず、その間も自分を守ってくれている男は必死にマデイラを守りながら男達から受ける暴行に耐え。
マデイラは初めて抱き締められる腕の中で、そのぬくもりと絶対的な安心感に包み込まれ、次第に胸が酷く高鳴っていくのを感じていた…

「…これで仕舞か?なら今度はこっちから行くぞ…?」
「くっ…!もういいっ…!皆っ ここには乙女がいないみたいだから行くぞっ」

何度も殴られ様とマデイラを離さない男は、殴ってきた男達に鋭い目で睨み付けると、まるで興が削がれた様に吐き捨て、男達はそのバルコニーから会場へと戻って行き。

「あ…あの……」

ずっと抱きしめられていたマデイラは、その男の腕の中でやっと小さく声を上げると、男はハッとして慌てて体を離し。

「た…大変失礼致しました…マデイラ様…
つい…夢中になって私めの様な者が貴女様を抱きしめてしまってっ…」

体を離した相手は、長身で体格が良く、貴族にしては随分目つきも悪く、少々いかつい顔をしてはいるが、それなりに顔立ちの整った美丈夫な男であった。

「貴方は…?」
「俺…いや、私はイールセント伯爵が次男、アドニキスと申します」
「イールセント伯爵?まぁ…父と懇意にされていらっしゃいますお方ですわ。
…その…助けて頂き、有難うございます…」

男…アドニキスは口から流れる血を慌てて手の甲で拭って、出来るだけ長身の体を小さくしながらマデイラに頭を下げて自己紹介すると、マデイラは顔を赤くしたまま小さく礼の言葉を述べて。

「い…いえっ!
私がしゃしゃり出て来ただけですからっ!
つい…マデイラ様が危険だと思って夢中になって…
その…抱きしめてしまいました…どうぞ…お許し下さい…」
「いいえ…私の方こそ危ない所を助けて頂いて有難うございます…
でも、よく気付きましたわね?」
「それは勿論っ!私は…ずっと…貴女の姿を追っておりましたっ。
貴女はこの社交界に咲く美しい華…
一目見た時から私はずっと貴女に心を奪われておりました…」
「ア アドニキス様っ?」

マデイラの言葉に夢中になって抱き締めてしまった事を謝罪する相手に、マデイラは良くタイミング良く助けてくれた事を不思議そうに尋ねるが、顔を赤くしながらアドニキスは片膝を折り、マデイラを見上げて自分の想いを言葉にし始め。

「マデイラ様…本当に貴女様はお美しい…
その姿も心も…私の様な不細工な男が…声をお掛けしていい立場ではない事は重々承知してましたが…
どうしても…貴女様の事は…私がこの手で守って差し上げたかった。
失礼を承知で言います…私は貴女様が愛おしい…」
「っっっ!!!」

片膝を折り、真っ直ぐに自分の想いを伝えてくるアドニキスに、マデイラは今まで全く経験した事無かった、相手からの情熱的なアプローチに真っ赤になって言葉を紡げず、そっと手を取られ恭しく口付けをされてしまうと、それが酷く心の奥を燻り、酷く胸を高鳴らせ。
他の誰かに情熱的に愛され、求められる事がこんなにも胸が張り裂けそうな程胸が高鳴り、そして全身が熱くなり、何よりなんと幸せな気持ちがする事か…

ライに向けていた愛情とはまた違う…
それよりももっと激しい愛情にマデイラは気付き始めていた。

「さぁ…マデイラ様。お父様が心配なさっていると思いますから、会場へ戻りましょう」
「えぇ…その前に…アドニキス様、血が出てらっしゃって見苦しいですわよ。
こちらでお拭きになって?」
「え…でも…汚れて…」
「構いませんわ。
でもそれよりも良い物でお返し下さいませ?
後からお返し頂ける日を決めましょう?」
「っ!?は…はいっ!
きっと気に入って頂ける物でお返しに伺いますっ!」

アドニキスは立ち上がると、マデイラに手を差し出して会場へ戻る様に促し、その手を素直に取ると持っていたレースのハンカチを差し出し
。慌てるアドニキスであったが、少々冷たい物言いであっても微笑みを向けてくれるマデイラの意味する事が分かり、顔を真っ赤にしながらも嬉しそうに笑いながら声を弾ませたアドニキスは手を重ねたまま二人でバルコニーから出て行き。







「やっぱり諦めさせるには、新しい情熱的な恋だよね」

木の上でその様子の一部始終を見ていた双月はぽつりと呟く。

「つまり…今のは全部双月が仕込んだ事なのかな?」

同じく一部始終を見ていたライは、抱き締める腕に少し力を入れて低く不機嫌極まりない声で囁き。


「あ~…言っとくけど全部じゃないよ?
ずっとアドニキス君がマデイラ嬢を見てたからさ、声を掛けたら、以前見かけた時からずっと一目惚れで、声を掛けたいけど掛けられないって言ってたからさ、そのチャンスを作ってあげたんだよ。
ちょっと声を掛けてきた皆さんには申し訳ない事をしたけど…
でも、これでアドニキス君がマデイラ嬢とうまくいけば、君の憂鬱を取れるし、丁度いいかなって…」
「それでわざわざ女の恰好で潜入したと…
それも男達が群がる様に魅惑的な化粧とかして…スンゴイ色気出して…」
「やっぱり…ライの妻とならば…女性でいた方が話が早いかなと…
女性が色香を出せる方法ってのを母から教わっていたし、女性でも魅了出来る様に頑張ったしさ…」
「ふーん………後でオシオキ決定……」
「それは勘弁して欲しいんだけっ…んぅっっ!」

双月の説明に不機嫌極まりない顔を更に渋い顔にして、双月が自分の為にここまでしてくれた事は嬉しかったのだが、自分にしか向けられない筈の蕩けた微笑みやしゃぶりつきたい程の魅惑的な色気を他の男達に晒した嫉妬心の方が激しく、お仕置きを決定してやると、それを拒もうとする双月の唇を先に奪い、激しく舌を絡ませて。

「双月…パーティーから帰ったら覚悟してね?
散々胸を舐めて吸い上げて…子宮の中まで僕の息子を何度も入れて掻き回して、沢山僕の精液を注ぎ込んで上げる…
勿論アナルだって散々攻めてさ…
手も縛って道具も使って上げるよ…」
「はぁっ…や…やだっ……ライっ…ごめんっ…だからっ…」
「だぁめ…許さない…まず始めに欲情させたままパーティー会場に戻ろうかな?」
「そ…それもやだっっ」

激しい口付けをして、荒く息を吐き出す双月の耳元で笑みを含んだ声でこれからする予定の事を囁くと、涙を浮かべながら双月はそれを拒否するが、ぺろりと耳朶を舐めてから、すっかりキスと言葉で熱を持ってしまったその体のまま、会場へ戻ろうとするライに双月は半泣きでそれを留めて…



それから暫くして、ライは双月を連れてパーティー会場へと戻り、いつしかすっかりアドニキスと話に花を咲かせてご満悦なマデイラに、少々熱い視線は向けられつつも挨拶のみで、アドニキスとの会話に戻った相手にほっと一息を付き。

再びバラの乙女と言われながら男性陣に取り囲まれた双月を、慌てて救出したりと騒がしい夜ではあったが、ずっと憂鬱と思っていた事が消えた事と、そして初めて妻として双月を隣に連れていられる事の幸せを味わったのであった。

そしてまた双月も、こうしてライの隣で妻であると紹介される恥ずかしさと幸せを味わいつつ、夜も更けていったのである。







勿論その夜…双月は女性化の薬が切れるまで、オシオキと言われて散々愛され続けたのは言うまでも無かったのである。


 


 

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