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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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本当の想いは…

六葉さんのSSにてリレー方式で頂きましたw
あちら様の 「家族を失う恐怖は、二度も経験したくない」の続きを
なんとリレーとして書かせていただく事になったのですw
かなりリレー方式って好きなので、渡されて嬉しかったりする月宮でした☆

うちのバード 双月は、半魔と言われる妖精と人間の合いの子であり
人より長い寿命を持ち、見た目25歳位ですが
実際は100年程生きて、この世界をのらりくらいりと旅していてきました。
そんな中、数十年前に保護して息子として共に生きてきた六葉さんとこのライと
いつしか恋仲となりますが、ライより年上でもライと同じ時間を生きれない為に
ずっと恋人になって欲しいとのライの誘いを断り続けていて…

そんな中 アサシンギルドの仕事中に、琥珀を庇って大怪我をしてしまったライ…
そして、自分のミスで死ぬか生きるかの大怪我を追わせてしまった自分を責める琥珀…
その琥珀がとった行動は……


こちらはリレーを投げて下さった六葉さんへ捧げます☆







「っつ…」

深い森の中、動物達に囲まれて楽器を爪弾き、優し気な声で歌っていた双月は、不意に顔を顰めてその手を止めた。
指先から赤い血が零れ落ちる。

「…リュートの弦が切れるなんて……」

引いていた楽器の弦が一本切れ、その指先を傷付けていた。
傷を口元へと寄せて舐めながら、双月は顔を曇らせて立ち上がる。

「まさか……ライ…?」

心配そうにこちらを伺う動物達に別れを告げて、双月は急いでその場から駆け出したのであった。


そう…愛する人が暮らす場所へと……





「誰も…いない…アサシンギルドの方かな…?」

ライの家へと来た双月は中を確認し、誰も居ないひんやりした空気の部屋を見渡して小さく呟く。
ライに直接ウィズをしようか…そう悩んでいた時であった。

「双月っっ!!」
「っ…琥珀っ!?」

まるで風の様に唐突に入って来て抱き付いてきた存在に双月は思わず驚きながらも、その名前を呼び、しっかりと抱きとめてやる。

「一体…どうしたの…?」
「双月…ごめっ…俺のせいだ……俺のせぃっ…マスターがっっ…」
「落ち着いて…琥珀?一体…ライがどうしたの…?」

大きな体を震わせながら、双月に抱き付き涙で震える声で伝え様とする琥珀に、双月は青ざめながらも、何とか自分を律して琥珀に先を促してやる。

「マスターが…俺を庇って…大怪我…した………このままじゃ…死んじゃうっ…」
「っ!?ライが…大怪我…?死ぬって…そんな…酷いの…?」

双月の肩を涙で濡らしながら、嗚咽交じりに告げてきた言葉に、双月の声が震え、目を見開いたまま琥珀に尋ねると、琥珀は言葉にならず、小さく頷いてみせる。

「そんな……ライが……」
「双月…なら……マスター…助けられる…?マスターが…家族が死んじゃうの…やだ…
シオンとイクスが死んだのも…どうしていいか…わかんない位…悲しくて…苦しくて…
やっと二人が帰ってきたのに…マスターが…死んじゃうの…やだよ…」

普段 殆ど表情を変えない、淡々と喋る琥珀は、まるで小さな子供の様に双月に縋り付き、止め処なく涙を溢れさせながら訴え、その琥珀がここまで狼狽えている事に、ライがどんな状況であるかを、双月はより一層ハッキリと分かってしまい。


ずっと…自分を求めるライの手を拒み続けてきたこの手…今更掴んでいいものか…

「琥珀……」

一度目を閉じた双月はゆっくりと息を吐き出し、琥珀の頭をそっと撫でると頬の手を添えて顔を覗き込む。

「お願い…僕を…アサシンギルドへ連れて行って?
僕は…こんな形でライを失いたく無いんだ……」






「まさか 名前と入隊希望だって言うだけで、本当に入隊出来ると思って無かった…」
「まぁ ライが僕が本当に入隊するって頷くだけで、その日から入れる様に細部まで手を回していたのは知っていたからね…
それに、前線に出る方じゃなくて、隊長補佐だから、余計にこんな戦力にならないバードでも入隊出来る訳だし…」

アサシンギルドの敷地内を琥珀はこの組織に入った者しか入る事が許されない場所を双月と共に歩きながら、思わず驚いた様に呟き、その背後を歩く双月は全てを知っていたかの様に、苦笑しつつも速足でライがいる場所へと足を運び。

「アヤメ…入るよ?」

ライが寝る部屋へと着いた琥珀は、ドアを軽くノックをしてそっとその扉を開ける。

「マスターは…どう?」
「また…なんとも言えん……その人は?」

顔を覗かせた琥珀の問いにアヤメは疲れ切った顔を向けて、深くため息を付くが、その背後にいる見慣れない顔に首を傾げる。

「あぁ…常夜の月牙の新しい入隊者で…隊長補佐になる人…」
「つい先ほど、ライ率いる常夜の月牙に入隊した双月です」
「アンタがライの……」

琥珀は双月と共に部屋へと入り、その隣に並ぶ双月を紹介し、双月も静かに微笑みを浮かべて名前を名乗り。
イクスからライが隊長補佐を付けない理由を聞いていたアヤメは、この双月こそが中々ライの隊長補佐を承諾しない恋人だと認識して、マジマジをその姿を見つめて。

「なんとか…ライは持ちこたえてる状態だね…
少し…下がっていて貰えるかな?あまり見せられる姿では無いから…出ていてくれても構わない…
今から完全にライを治す…」

しっかりと自分を見るアヤメに微笑み一礼すると、その横をすり抜けベッドへと横たわるライを目に入れ、ライ自身に限界が来ている事が分かり、肩ごしに振り向いてから二人に願うと、ライのすぐ傍に足を進め。

「一体何を言って…」
「アヤメ…少しだけ…双月に任せて…」
「しかし…医者は私だっ…な に…!?」

ライに近寄る双月を引き留め様とするアヤメの手を握り止める琥珀に、アヤメは声を荒げるが、目の前の光景に思わず言葉を失ってしまう。

双月がライから貰った髪を止めるゴムを外した途端、黒髪は若草色の長い髪へとなり、ふわりと足首辺りまで伸びて、その背中には淡く光輝く薄く大きな羽が広がり…

「ライ…助けるよ…」

手をライへと翳したその姿が眩いが、優しい光に包まれ、部屋一杯に碧の光が溢れてゆき。

「一体…これは……」
「双月は半魔だ…妖精と人間の間に生まれた…絶対的な治癒力を持ってる。
俺もあの力に助けて貰った。でも、この姿を見るのは俺も初めてだ…」

その光と姿に目を見開き言葉を失うアヤメの隣で、光を眩しそうに目を細めてみる琥珀は、双月の正体を明かして、ずっと恋焦がれていた相手の本当の姿を目の当たりにして、薄く微笑み。

『愛おしい人 愛おしい人 私を忘れないで…
私のいる場所は 貴方の腕の中だけ…
だからどうぞ 側へいさせて…そこが私のいる場所…』

美しい 女性とも男性とも言えない声で紡がれる歌は、ライの全てを包み込み、より光は眩く輝いて……


「う…っ……」
「っ…ライっ!」

まるで死んだ様に眠っていたライの唇から洩れた声に、双月は慌てて駆け寄り顔を覗きこむ。

「なんで…双月が…いる…?ココは…?僕は…確か…」
「大丈夫…ライはちゃんと生きてるよ…ほら…」

すっかり顔は元の色へと戻り、寝ぼけた様な顔で薄く眼を開いたライはハッキリしない頭で手を双月へと伸ばし、その手を取ると、双月は自らの頬に触れさせて、手の上から自分の手を重ねて。

「アヤメ…ちょっとだけ…外に出てこう?もう マスターは大丈夫だから」
「まぁ…そう だな…」

そんな二人の様子を背後から見ていた琥珀は、アヤメの服の裾を軽く引っ張り外へと促し、双月の様子に驚いていたままであったアヤメも、二人きりの世界になっている双月とライに気付き、少し顔を赤らめて琥珀と共に部屋を出て行き。

「あの双月という男は…一体何の妖精の子供なんだ?」
「双月の親は…この世界にたった一人しかいない妖精の子だよ…だからこそ、ずっと狙われてる…だって、きっと誰もが欲しがる力を持ってるから……」


そんな話を廊下で二人がしてる事も知らず、ライは双月の頬を撫でて、ぼんやりとまだする瞳でその姿を見つめる。

「久々に見た…双月のその姿…やっぱり綺麗だね…
僕を…助けにきてくれたんだ…?でも ココはアサギルドだよね…もしかして双月…」
「ライ…僕はね…ずっと逃げてたんだ…
とても大切な君を見送るのが怖くて…君もまた、僕を置いていってしまう…
そうして君が先に年老いて、僕を置いて先に逝ってしまうのを目の当たりにするのが怖くて…
ずっと逃げていた…ライがどれだけ頑張って、ココに僕がいれる場所を作ってくれたのか知っていたのにね…」

双月の姿を見ながら嬉しそうに笑みを浮かべるも、段々ハッキリしてきた頭で、双月がココにいる理由を考えられる様になり、驚く様に見つめるその瞳をしっかりと受け止めながら、重ねて手に力を入れて、双月はゆっくりと微笑みを浮かべながら言葉にして。
その翡翠の様な輝く瞳からは涙が頬を伝って、ライの手を濡らしてゆき。

「でも…こんなに早く…ライが死ぬなんて…考えもしなかった…
いや…きっとその考えからも逃げていたんだと思う…
本当に…こんなに長く生きてるのに…馬鹿だよね…それに臆病だ…
例え…ライを見送る事になっても、こんな早くは嫌だ…
だから……傍に…いるよ…
ライが折角作ってくれた…この場所に…僕を……」
「うん…やっと…やっと…来てくれたんだね…双月…」

次から次へと涙が零れ、それでもいつもよりずっとどこか幼い顔で言葉を詰まらせながらもライへと伝え様とするその唇へと自分の指先を触れさせて、一度言葉を封じて、ライは嬉しそうに微笑み。

「双月…僕の恋人として…隊長補佐になってこの常夜の月牙のギルドに居てくれる?」
「…うん…ライ…」
「っ…双月っ…!」
「んっっ…!」

頬を撫でながら、改めて言葉にして、それに頬を染めながら小さく頷く双月に、ライは堪らなくなり、上半身を傾けて、その唇を奪って…






「はぁ…体力が戻ってれば、このまま襲うのに…
まだ、その姿の双月を襲った事無かったし…」
「はいはい…その内ね?僕は傷とかは完全に治せるけど、体力とかは治せないから、後は大人しく休むことだね?」
「言ったからな?絶対妖精の姿でも抱かせろよ?
後で…僕の家族皆にも紹介するよ?新しい家族だって…
そして…早めに血痕式しよう?絶対に双月が僕の傍を離れない様に…」
「血痕式か…僕 強くないから、そんな倒せないよ?」
「大丈夫っ 双月は僕の後ろで支援だけでいいよ?僕の実力 知ってるでしょ?
それに……どうして僕の怪我を知ったのか…色んな内部情報を知ってるかも…ちゃあんと聞いておかないとね?」
「あ~……えーと…今更だけど、逃げていいかな?」
「だぁめっっ!何なら今からでも僕のギルドのメンバーを皆ココに呼ぶよっ」

ベッドに横たわったまま、双月の頬や髪を撫でながらその姿を堪能しつつ、完全に傷が治ったため、いつもの調子が戻ってきたのか、いつもの様に二人で軽口を叩き合い、今まで疑問に思っていた事を黒い笑みと共に囁くライに、双月は思わず視線を反らし、後ずさろうとするも、髪を引っ張られ、思わず双月はバランスを崩して、そのままライの胸の中へと倒れ込み…



「愛してる…双月…僕の生涯を捧げる唯一の人…」

そうしてもう一度、二人は唇を重ねたのであった。

長い長い旅に出ていた鳥は、血に塗れた美しい暗殺者の手の中へと安住の地を見つけたのであった。

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  • by 六葉
  • 2014/04/16(Wed)20:14
  • Edit
こんばんわ、投げたバトンを受け取って下さり、有難うございます! バトン、受け取りました! 血痕式、構想を練ってます(笑)
琥珀が可愛いv アヤメが当初死ぬ予定のキャラだったのに、どんどん女性として自覚(?)し始めて可愛いとか思ってしまいました。所々に見えるアヤメの女性っぽさが凄く良かったです。
双月、趣味は覗き見ですかwww と言いたい程、知ってますよね。妖精パワーか(爆)
ライがギルドメンバー集めるって言ってますが、扉前に待機していると思います。休暇中の人はすっ飛んで来て、帰って良い人も待機して、任務中の人はリアルタイムで事情を聴きながら早めに帰れる様にしたりって。
傷治っても体力戻って無いのに犯そうとする精神。やはりシオンの根源は……。
もう色々素敵過ぎて、可愛くて、暫く経ったのに興奮冷めやらぬ乱文で失礼しました。
御馳走様でした~v

六葉様

  • by 月宮
  • 2014/04/17 00:32
バトン 受け取って貰えたww
有難うございます!
琥珀はいつも淡々としてますが、唯一双月の前では泣きますし、かなり狼狽えてしまいます☆
やはり琥珀にとっての母親だからでしょうかねw
アヤメさん 初めて書いたのですが、正直可愛いっ!あまり人の色恋沙汰とかも知らないでしょうから、そんな大人な状態を目の前でみちゃったら、きっと恥ずかしがるだろうなぁとww
あぁ…早くイージスと一緒になればいいのに♪
とか、書きながら思ってたりしましたよ(笑)
双月はある意味ライ相手に覗き見は趣味かもしれません(爆)
内部情報は殆ど琥珀が伝えてますが、琥珀すら知らなかった事を知ってたりとか、かなり謎のお人ですw
確かに補佐だけでなくて、諜報部員としても結構役に立ちそうな双月です☆
いいなぁ…扉前に皆集まってるとかww
確かにライが目が覚めたと聞いたら皆飛んでくるでしょうけど、部屋でライと双月がラブラブしてるからと琥珀が皆に伝えて、それが終わって呼ばれるまで待機してるんでしょうかねw
そこらへんの話も読んでみたいっっwww
すぐに双月もこの家族の中に溶け込んで、仲良く過ごせたりするんだろうな~
ライならば、こんな双月を目の前にしたら、襲う気満々な気がしまして(笑)
確かにその教育はしっかりとシオンに受け継がれているんですねぇwww
次お会いした時は、この話で持ち切りになりそうだ☆
バトン本当に有難うございましたw
次も待ってます(爆)

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