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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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月夜に咲く紫の華⑥

紫苑過去話の第6段


幸せになる為に 二人で逃亡し、それなりに幸せな時を過ごしていた。
けれど、魔の手は確かに伸びていた…









「紫苑っ いそげっ」
「そう無茶 言わないでよっ」


年も明けた1月
私達はモロクへと密かに居住を移していた。
このまま、見つからず静かに暮らしていけるので無いか…
そんな甘い考えがよぎった そんな矢先だった。

教会の調査団に居所がバレてしまい、一気に部屋へと押し掛けてきた。
即座にアイスウォールで入口を塞ぎ、レンのポータルで飛んできたのは、ソグラド砂漠であった。
レンは私の手を握り先を走り、私は砂に足を取られながらも何とかついて行く。

「レンっ こっちだっ」

ソグラド砂漠17
デザートウルフ達が沢山襲いかかってくるこの場所で、いきなりレンへ声が掛かる。
ひと際大きなデザートウルフが レンへ向かって叫んだ。

「ランっ!」

それはすっかり成長して、この砂漠へと野生へ返したランだった。
ランは唸り、襲いかかってくる他のウルフ達を退けさせると、自分について来いと先頭を走る。

「こっちに隠れられる場所があるっ
暫くそこで身を隠すんだっ」
「助かったぜ ランっ
すっかり成長してっ…!よけろっ!!」

先頭を走るランは、人間が知らない隠れ家があるのだと告げ、そこに私達を誘導し、久々に会ったランに嬉しそうに答えていたレンは、不意に気配を鋭くさせ、私を抱きしめその場から飛ぶ。

「っ!?」

今までいたその場所には、串刺しにするかの如く大量の矢が降り注ぎ、間一髪で私を抱いたレンとランは距離を測って飛び、矢が飛んできた方向を見て目を見張る。

そこには、矢を放ったスナイパー。
それに、チェイサーやアサクロなど、かなりの使い手だと思われる連中が数人静かに立っていた。
その気配はけして、教会の調査団ではなく、本物の殺し屋……

「こいつら…教会の奴らじゃねぇな…」
「……あの男の配下だ…あの クリエの…」

私を片手で抱いたまま、レンは相手を睨みつけ小さく呟き、私は思わず震えてしまいながらも、なんとか答える。
とうとう…見つかってしまった…
思わず青ざめる私に、いきなりレンは唇に口づけてきた。

「っ!?なっ なにすんだっ!
こんな時にっ」
「いや こんな時だから、エネルギーをチャージしようかと…
大丈夫…俺達は強い…
そう簡単に負けねぇよ」

思わず真っ赤になりながら突き飛ばした私に、レンはいつもの通りのおどけた顔で笑い、私の頭を撫でて不敵な笑みを浮かべ、敵と向き合う。
その笑顔にきっと大丈夫だと、そう信じ、私も杖を構えた。


そう 信じたかったが…実際 チャンプとウィザードの二人で 
この人数と、何より訓練させた相手に戦うのは無謀だったのだ。
おまけにいきなり部屋に押し掛けられたから、回復剤やろくな装備など持ってなかったし、せめてプリの支援でもあれば、まだマシだろうけど、それも出来ない。
ケミのポーションポッチャーや教授のソウルチェンジもないから、阿修羅覇鳳拳も迂闊に使えない。
一人一人を相手に、何とかレンは耐えながら攻撃を繰り返し、私もアイスウォールで足止めしたり、ストームガストやメテオストームを繰り広げるも、あまりにも動きが早すぎて、魔法が間に合わない…
いや…確かに当っている筈なのだが、顔色一つ変えず、例え血に塗れても、腕が千切れても、彼らの動きが止まる事は無かった。
…あのクリエの…実験体が完成していたのだ…
恐らく人型ホムンクルスか、洗脳された者達…
こいつら相手じゃ 私達に勝ち目は無いっ
最悪私はこの石のせいで殺さないから…せめて…レンだけでもっ!


「くくくく…どちらも殺して構わん…
石だけ取り出せばいいんだしなぁ?
ワシの素晴らしい実験がやっと成功したと言うのに、サンプルを持ち逃げされてのぉ…
ワシは今、機嫌が悪いんだ…
どちらも血祭りに上げてしまえ。死体もまたワシの実験に使える」

レンだけでも逃げてっ
そう言うより早く、聞き覚えのある、しわ枯れた嫌な声が響く。
私達の戦いを傍観するかの様に、岩場の上で教授を連れたあのクリエがイヤらしい笑いを浮かべながら、レンに集中する自分の駒に、私も殺す様に指示を出した途端、いきなり音も無くアサクロが私に向かい。

「セイフティっ…!!!」
「白刃取りっっ!!」

そのスピードの速さに、自分の身を守るセイフティウォールを唱えるより先に、アサクロの刃が私の喉に届く…その瞬間だった。
私とアサクロの間に居る筈の無いレンが現れ、その刃を手で受けとめたのだ。
残影で瞬時に移動して、それを受け止めるなんてっ…!
驚きながらも、そのアサクロをレンから引きはがす為、急いで魔法を唱える。

「ユピテルサンダーっ!!」
「ぐぁっ!!」

白刃取りで固まったアサクロを、レンからユピテルサンダーで吹き飛ばした瞬間、私の目の前が血で染まった。
私の前にいたレンの胸に、大量の矢と、いつの間にか近づいていたチェイサーの短剣がその首を引き裂いていたのだ。


「っっっ!!!!!レンっっ!!!」

私の悲鳴が、砂漠の空に響き渡った……





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