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雪の華が咲く頃に

オンラインゲーム 『ラグナロクオンライン』の小説を書いています。 内容はBL系が多くなると思いますので、 ご理解頂けない方、嫌悪感がある方 などの拝見はお控下さいます様、 宜しくお願い申し上げます。 先に カテゴリ『初めに』をご覧になって下さい。

   

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月夜に咲く紫の華⑦

おかしい…なんで過去話でこんな長くなってしまったんだ…


とうとう、追手に襲われた紫苑とレン
久々のデザートウルフのランとの再会の喜びもつかの間、
絶体絶命の紫苑の前に立ち塞がったレン…

目の前に飛び散る血に 紫苑は悲鳴を上げて……




月夜に咲く紫の華 最終話です。
これを2話に分けるか、どうか考えて1話に纏めたら大変な量になってしまった…
やっと紫苑の過去話が終わりで、これで他のキャラの話を書ける…はず?

名前だけですが、もちきんちゃくさんの所のカッコいいクリエさんを出させて頂きました。
済みません…
過去の思い出したくない時代の知り合いな事だったので
どうしてもココで名前を出したくて 勝手にお借りしてしまいました(汗)



なんだか詰め込み過ぎて、話がちゃんと纏まらなかった様な気がする…

⑦話まで お読み頂き有難うございました。













「っっ!!レンっっ!!!」
「やらっ…れるかぁぁぁっっっ!!!
阿修羅覇凰拳っっっ!!!!!」


目の前にレンの血が飛び散った瞬間、悲鳴を上げてしまった私を守る様に
その状態からレンは一気に最後の大技 阿修羅覇凰拳を繰り広げ
大きな爆音と共に、その周辺は光りと砂埃に包まれ。


「はぁっ…はぁ…ぐぅっ…がはぁっ!!!」
「レンっ!!」

光と砂埃が収まる頃、血に塗れたレンは大量の血を吐きだし、その場に倒れ、私は弾かれた様にレンに腕を伸ばし、抱きとめる。
胸に刺さった大量の矢は途中で折れ、切り裂かれた首からは血が溢れ出ていた。
一目で分かる…けして、助かる傷ではない。
何より、アルケミもプリも居ない状態で、治療の仕様が無かった。


「くくく…さすがはチャンピオン…
儂の駒が殆ど死んでしまったわ…
これからの実験が楽しみだわい…
さぁ儂の駒共よ こいつらの息の根を止めよ」
「させるか…このゲスが……
許さない……」

岩場の上から、再びクリエの気持ち悪い笑い声が響いた。
岩場からハイプリの男が身塗れで落ちて行った…あの男を犠牲にしたのだろう…
クリエも教授も無事であった…憎たらしい…
未だ生き残っていた他の奴らに命令すると、そいつらが私達に向かう。
私は胸にある石が酷く熱くなっていくのを、私に力を与えるのを感じた。
この石は激しい怒りに反応するのか…
ならば、今こそ解き放とう…私の怒りを…憎しみを 思い知るがいい…

焼けつく程の胸の痛みと熱さを感じながら、私の体から強大な魔力が溢れ出る。
レンを抱きしめたまま、杖を掴んだ私の足元に巨大な魔方陣が浮かび上がる。


「絶対…許さない……死ね……
ロードオヴヴァーミリオンっっっ!!!!」

迫りくる敵を目の前に、私は渾身の力を込めて力を解放する。
地面の魔方陣から光が溢れ、曇った空は一瞬光り、その次の瞬間には、とてつもない光の渦がその一体を爆音と共に包み込んでいた…


砂煙が落ち着いてくると、私の目の前は全て黒焦げになっており、岩から何から全てが消えていた。
迫っていた奴らも、炭の様に風へと散ってしまったが、その炭となった奴らの中に、あのクリエが居ない事はなぜだか分かった。

「はぁっ…はっ…くそっ…にがし たかっ…」

力を使った衝撃は凄まじく、焼けつく胸を抑えて、思わず蹲る。
それでも何とか、血にまみれ、冷たくなっていくレンの頬に手の伸ばす。

「レン……レン…」

溢れそうになる涙を何とか堪え、私は何度も愛しい男の名前を呼ぶ。



「うっ…紫 苑…?
生きて…るか?」
「っ…このっ馬鹿っ!何 私を庇って死に掛けてんのよっ!」

薄らと、私の腕の中で目を開けたレンは、顔を歪めながらも私の姿を捉えると、私の事を気遣う。
それが嬉しいのと、腹立たしいのに、思わず怒鳴りつけてしまう。
怒鳴りつけられたレンは、酷く楽しげに笑い、私の頬に血に濡れた手を這わせた…


「全く…お前のこれからが心配だよ…」


ゆっくり撫でながら、今すぐにも光が消えそうな、それでも優しい瞳で見上げ、いつもの様に苦笑する。


「余計なお世話だね。アンタが心配する程、私は落ちぶれてなんていないよ」


泣きだしそうなのを堪え、怒ったフリをして睨みつけてやる。


「はは そりゃあそうだ」


そんな私を見て、レンは安心した様に笑い。

「しっかりどんな事があっても生きろよ?
俺はな 心底惚れ込んだお前を守れて幸せなんだ。
ホント…惚れた奴を守って逝くなんざ…最高に 幸せ…だ……
生きろ………」

本当に本当に心底幸せそうに…屈託のない笑顔で…
レンは私の頬を一撫ですると、その笑顔のまま、呼吸を止めた……


涙さえ…出なかった…
だって…こんな幸せそうな顔で逝くんだもの……
もっと私を呪って…ののしってくれたら…私はアンタを追いかけられるのに…
こんな…幸せそうに笑ったら…泣く訳にも…命を絶つ訳にもいかないじゃない……

「このっ…馬鹿っ…
…私を 拾ったりなんかするから……」
「…レンは 後悔なんかしていない…十分 お前と過ごせて幸せだった…」

穏やかに眠るレンの頬を今度は私が撫でてやりながら、思わず文句を言うと、その背後から静かな声が聞こえてくる。

「ラン…」
「お前を俺が見つけた時から レンはお前に惚れていた…
幸せだったんだから 嘆く必要はない。
お前と逢わなきゃよかったなんて こいつは全く思ってないんだから」

傍らに来たランは、本来の飼い主のレンを見つめながら、静かに私に語り、そして目尻をそっと舐めてくれた。



その後 教会から追われたレンは墓を正式に墓を作る事が出来ないので、ランが自分達が住まうこのフィールドにレンを埋葬した。



生きろ…

それがレンの最後の願いだったから、私は死に物狂いで生きた。
教会にも追われ、あのクリエにも追われた身が、表の世界で生きていける訳がない。
だから再び闇へとこの身を落とした。
闇市の住人となり、そこに巣くうマフィア達の懐に入り、一番上の男達の愛人になったり、用心棒になったり…
その頃に、荒んだ顔をしたサカキとも会い、まぁ 色々しちゃったり…
さすがに殺されるかな?って時に 双月に救われちゃったりとかしながらも、何とか生きていた。
汚れるだけ汚れた体と人生だったけど、辛くは無かった…

生きろ
それが ただ一つのレンからの願いだったから…



そして現在…
レンが死んでから 15年がたっていた。
今更ながらに 愛する相手が出来てしまった。
真っ直ぐに私を見て、その拳で私を幸せにすると誓った男…トーゴ

太陽みたいな…そして真っ直ぐ表の道を歩くトーゴに
愛して貰える人間ではないのに、つい 心地よくて傍に居てしまった。



「本当に また花なんてくれたりして…困ったもんだわ…」

一体もう何度目か分からないが、アタシに似合うとトーゴが突然花束を持ってくる事があり、今日も百合の花束をアタシに持ってきて、仕事に行ってしまった。
文句を言いつつも、なんだか嬉しくて思わず口元に笑みが浮かぶ。
浮かれていたアタシに、なんとも静かに声が掛かった。


「やはり 大輪の花が良く似合いますね?美しい人には美しい花が良く似合う」


通りかかった建物と建物の間から掛かった声。
私は振り返らずに足を止める。


「久しぶりね?確か…キルス だったかしら?」
「覚えて頂いて光栄です 紫苑様?」

イシュアを救出する為に参加した闇オークションの会場で声を掛けてきた教授…キルス。

「一体いきなり声を掛けて 何の用かしら?」
「分かってる癖に…
もうすぐ貴方が…その胸にある石が必要になります。
あの方の元から15年前に居なくなったサンプルがやっと見つかったそうです。
そのサンプルを回収して、貴方の胸の石を媒体として今度こそあの方が求める研究が完成するのです。
その実験が行われる時に、どうぞ必ずおいで下さい?」
「また アンタ達が追えない様に逃げるかもよ?」
「そうすれば 貴方が大事にしている者達がどうなるかは…貴方が十分分かっていらっしゃる筈…
そして貴方は今度はもう逃げはしない…」
「勝手に想像してくれちゃって…
でも ま…もう逃げ疲れちゃったわ…
いいわよ…今度はアタシから出向いてあげるから…
けど…アタシの許可無しに、アタシの大事なモノに手を出したら…
それこそどうなるか分かってるでしょうね?
殺すよ…」

そう 分かっていた。
この男があのクリエと繋がっている事なんて…
あの時、クリエの傍にいた教授と良く似てたし、雰囲気があいつに良く似てる…
楽しげにアタシに告げる教授に、アタシは振り向きもせずに警告する。
思わず怒りから力が溢れて、周りの壁に亀裂が走った。

「…では その時にまた お伺いします」

さすがに一瞬戸惑った教授は、小さく頭を下げるとそのまま蝶で飛んでしまった。



とうとう…この時が来てしまった。
でも今度は レンの様にアタシが笑って逝けるかもしれない。
だって この世界の全てを壊してもいい位の、愛しい男が出来たんだもの…
トーゴを守る為なら、アタシは何にだってなれる。

勿論 タダじゃ死ぬつもりはない。
いつか来る その日の為に、あのクリエを殺す為に力を溜めてきたのだ…
全て破壊してやるわ。


「トーゴ……」

部屋へと飾った百合の花を見ながら、アタシは愛しい男の名を呟く。

「レン…お願い…
トーゴを守って…
やっと 愛せた人なの…失いたく ない…」

あの日から 一度も口にしなかったレンの名を口にして、トーゴの無事を祈った。
思わず溢れた涙を止める事も出来ず、アタシは両手で顔を覆う。


もうすぐ…この愛しい時間は終わり…
ねぇ トーゴ…
アタシが居なくなっても アタシを忘れないでね…?


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